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幻のような数字「在韓米軍の現行水準2万8500人」

登録:2025-12-13 09:56 修正:2025-12-13 10:37
[クォン・ヒョクチョルの見えない安保]
10月30日、京畿道烏山空軍基地に到着した米軍第35防空砲兵旅団所属の将兵が「朝鮮半島復帰」の歓迎を受けている=在韓米軍のウェブサイトより//ハンギョレ新聞社

 米国の国防権限法(NDAA)をめぐる上下両院での妥協案として「在韓米軍縮小に対する予算使用の禁止」条項が加えられた。7日(現地時間)に公開された「2026会計年国防権限法」(NDAA)の最終案に「予算で承認された額は、韓国に恒久的に駐留したり配属されたりしている米軍兵力を2万8500人未満に縮小することに用いることはできない」とする内容が追加されたのだ。

 この条項について韓国メディアは「米議会が在韓米軍2万8500人の現行規模の維持を固めた」と意味づけた。先月14日に公開された第57回韓米安全保障協議会議(SCM)の共同声明から「在韓米軍の現行の戦力水準の維持」という文言が削除されたことで、「トランプ政権は在韓米軍の兵力を削減するのではないか」という懸念が広がっていたため、韓国内では国防権限法が大きく歓迎された。

 李明博(イ・ミョンバク)政権発足後、韓国と米国は在韓米軍の規模について、現行水準(2万8500人)維持の合意を強調してきた。こうした経緯から、在韓米軍2万8500人は、在韓米軍の規模や性格の変化を測る指標として認識されるようになった。米国は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権期の2004年から2006年まで、「全世界における米軍の再配置検討」(GPR)にしたがい、テロとの戦争に集中するため、在韓米軍から約9000人を撤収させた。盧武鉉政権期の2004年10月に韓米は、約3万8000人だった在韓米軍の規模を2008年末までに2万5500人に減らすことで合意した。

昨年3月11~20日に韓国軍第5工兵旅団の将兵と在韓米軍第2師団工兵大隊所属の将兵が、京畿道坡州市臨津江の近くで実施された韓米合同の水陸両用訓練で、合同橋の建設作業を完了している=在韓米軍のウェブサイトより//ハンギョレ新聞社

 その後、李明博政府初期の2008年4月の韓米首脳会談で、両国は在韓米軍縮小を中断し、兵力規模を現行水準(2万8500人)で維持することで合意した。当時、李明博政権は盧武鉉政権発足後の韓米同盟の再調整(在韓米軍の再配置および戦時作戦統制権の返還)で悪化した韓米関係について、「在韓米軍の規模を現行水準に維持することに対する合意」を通じて同盟復活を成し遂げたとして大々的に宣伝した。2008年4月の韓米首脳会談以降、韓米国防長官は機会があるたびにこの合意を確認し、強調してきた。第1次トランプ政権期の2020年の1回を除く毎年、韓米安全保障協議会議の共同声明には「在韓米軍の現行兵力水準の維持」という表現が含められた。

 在韓米軍地位協定(SOFA)の規定上、韓国政府は在韓米軍の出入国者数について定期的に通告を受けている。しかし、韓国政府が在韓米軍の兵力の増減をすぐに具体的に確認する方法はない。韓国政府は「在韓米軍2万8500人が駐留している」という合衆国政府の話を額面どおり受け入れざるを得ない。在韓米軍はパスポートおよびビザに関する韓国内の法令と、外国人登録および管理に関する法令の適用から免除されているからだ。在韓米軍は、民間航空機だけでなくチャーター機にも乗って烏山空軍基地から出入国する。

生成AI「Perplexity」に「2008年からの在韓米軍の兵力規模を年度別にグラフで表示し、2万8500人を基準として年度別の兵力規模の変動推移を比較してほしい」と指示して作成した画像=資料出所は米国防総省人的資源統計センター(DMDC)//ハンギョレ新聞社

 朴槿恵政権末期の2016年には在韓米軍は2万5000人の水準になり、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権期(2023~2024年)には2万3000人の水準に減少したという事実が、米国防総省の文書(DoD: Personnel, Workforce Reports & Publications)で確認された。米国防総省の人的資源統計センター(DMDC)が作成したこの文書は、年度別に在韓米軍の兵力の現状を時系列資料で示している。これまで、「在韓米軍の兵力規模は米国が約束した2万8500人ではない」と指摘されると、米国は「訓練の兵力は必要に応じて変動する可能性がある」と説明してきた。

 この文書によると、在韓米軍の規模(現役基準)は、李明博政権の初年度である2008年12月末時点の2万5772人から、2012年は2万7724人、2013年は2万9683人、2014年は2万9074人、2015年には2万9113人となり、2万9000人台へと増えた。1年後の2016年は2万5020人で前年より4093人減少し、2017年には再び前年比1440人減の2万3580人になった。その後、文在寅(ムン・ジェイン)政権期には在韓米軍の兵力規模が再び増え始め、2018年は2万6311人、2019年は2万6643人、2020年は2万5430人、2021年は2万5338人、2022年9月時点では2万5372人となり、2万5000~6000人の水準を維持した。

尹錫悦前大統領が2023年4月26日、米国ホワイトハウスの国賓晩餐会の会場でジョー・バイデン米大統領(当時)からギターのプレゼントを受け取り喜んでいる。尹錫悦政権期に在韓米軍の兵力は約2000人減少した/AP・聯合ニュース

 尹錫悦政権は米国一辺倒の外交政策を展開し、「文在寅政権が台無しにした韓米同盟を復活させた」と自慢したが、政権期間中に在韓米軍の兵力は逆に約2000人減少した。尹錫悦政権期の在韓米軍の規模は、2023年は2万3813人、2024年は2万3291人で、2万3000人台にとどまっていた。尹錫悦政権期に出された韓米安全保障協議会議(SCM)の共同声明は毎回、「在韓米軍の現行の兵力水準を維持するという米国の公約を再強調」したが、米国が約束した2万8500人より約4900人不足している。2008年からは「在韓米軍2万8500人水準の維持」が韓米間の政治・軍事的信頼の証として定着したが、2万8500人というのは、韓国が検証することが困難な、幻のような数字だ。

クォン・ヒョクチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/polibar/1234218.html韓国語原文入力:2025-12-12 09:32
訳M.S

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