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在韓米軍に330億ドル支援、分担金引き上げの迂回路?「安保請求書」どこまで

登録:2025-11-16 23:06 修正:2025-11-17 09:03
米戦略兵器の展開コストなど負担の可能性
李在明大統領が14日、ソウル龍山の大統領室の記者会見場で、韓米関税・安保交渉の「ジョイント・ファクトシート(共同説明資料)」を発表している。左からキム・ヨンボム大統領室政策室長、李大統領、ウィ・ソンラク国家安保室長、イ・ギュヨン大統領室広報疎通首席/聯合ニュース

 韓米首脳会談のジョイント・ファクトシート(共同説明資料)には、トランプ時代の「取引型同盟」の実状を示す米国からの巨額の安保請求書があちこちに含まれている。代表的なのが「在韓米軍に対する330億ドル規模の総合的支援」だ。ドナルド・トランプ大統領が韓国に戦略兵器の展開コストなどを負担するよう求めてきている中、事実上隠れた防衛費分担金の大幅引き上げではないかと問題提起されている。

 14日に公開されたファクトシートの「韓米同盟の現代化」という項目には、「韓国は2030年までに米国製の軍事装備に250億ドルを支出する計画を発表した。在韓米軍に対する計330億ドル規模の総合的支援の方針も共有した」と明示されている。

 韓国による在韓米軍に対する支援金である防衛費分担金は人件費、軍事建設費、軍需支援費としてのみ使うよう規定されている。韓米が昨年10月に妥結した第12次防衛費分担特別協定(SMA)によると、2026年の分担金は1兆5192億ウォン(10億ドルあまり)。ところが突如として、330億ドルという巨額を総合的に支援するとする内容が登場したのだ。ウィ・ソンラク国家安保室長は、「既存の防衛費分担特別協定や今後(の協定の)延長を想定し、今後10年にわたって在韓米軍に支援しうる金額をカウント(計算)したもの」だとし、「在韓米軍に対する直接・間接コスト、土地などまでカウントしたものであり、新しいものではまったくない」と強調した。

 しかし専門家は、政府の説明とは異なり、今回のファクトシートには在韓米軍に対する総合的支援の期間が10年であることが明示されていないことに注目している。今回のファクトシートでは、米国製兵器の購入に言及している部分に「2030年まで」と明示されている部分があるため、在韓米軍に対する総合的支援の期間も2030年までと解釈する余地はあると思われる。そうだった場合、1年に韓国が支援することになる金額(約66億ドル)は、現在の防衛費分担金の6倍を超える。政府の説明どおりに10年だったとしても、毎年33億ドルを支援しなければならないため、事実上、防衛費分担金を現在の3倍に引き上げることになる。

 ウィ室長は、在韓米軍の土地使用料、電気料金の減免などの「間接費用」をすべて含むと説明しているが、長きにわたって米国との交渉にかかわってきた外交官たちは、米国は一度も韓国の間接支援を公式に計上したことがないと指摘する。

 匿名の元外交当局者は16日、「総合的支援という曖昧な表現は、トランプ大統領がこのかん要求してきた(韓米)軍事訓練のコストと戦略兵器の展開コストを韓国が負担することになる可能性を含んだ毒素条項となりうる」との懸念を示した。

 大統領室はこのような懸念に対して、「既存の費用をすべて加えて同盟の寄与を強調したもの」だと反論した。大統領室の高官はこの日、ハンギョレに「米国との交渉で、韓国が同盟国として大きな寄与をしてきたことを強調するために、防衛費分担金の予定されている引き上げ分と在韓米軍の土地使用料、電気料減免などのすべてのコストを計算して米国に示したもの」だとして、「私たちがすでに合意した内容以外に、新たに米国に与えることになる費用はない」と語った。

パク・ミンヒ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1229544.html韓国語原文入力:2025-11-16 20:32
訳D.K

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