旧統一教会のユン・ヨンホ元世界本部長が、野党第一党「国民の力」のクォン・ソンドン議員の政治資金法違反事件の裁判に証人として出廷し、先日浮かび上がった与党「共に民主党」と「未来統合党(国民の力の前身)」の主要人物に対する金品供与疑惑について「様々な誤解を受けている」として一歩引いた姿勢を示した。これまでの捜査や裁判の過程で一貫して認めてきたクォン議員への金品供与についても、証言を拒否した。
ユン元本部長は、ソウル中央地裁刑事27部(ウ・インソン裁判長)の審理で12日に行われたクォン議員の政治資金法違反事件の裁判に証人として出廷した。クォン議員の事件でユン元本部長は、違法な1億ウォンの政治資金を渡した「供与者」だ。ユン元本部長は、クォン議員に1億ウォンを渡したという起訴事実についての尋問に対する答弁を避けつつ、「今、様々な誤解を最近も受けている」、「今このケース(クォン議員の事件)のことを言っているのではなく、私が会ったこともない方々に金品を渡すというのは話にならないのではないか」と述べた。また「今、世間で取り沙汰されていることも、私の意図とはまったく(関係がない)。そのような供述をしたことはないが、そういうこと(報道)もあり、それで慎重になっている」と述べた。今年8月の特検の捜査では、与野党の複数の元・現職議員にも金品を渡したと供述しているが、自身が直接関与してはいないと主張したものとみられる。
ユン元本部長を調査したミン・ジュンギ特別検察官チームの面談記録には、金品受け渡し時にユン元本部長が現場にいたのか、自ら金を渡したのかなどの内容は記されていないという。ユン元本部長が調査の際に旧統一教会内部で把握されていた内容を特検チームに供述した可能性もあるということだ。金品供与が事実であっても、ユン元本部長が直接関与していなかったとすれば、供与者としての処罰は免れうる。ユン元本部長側は今月10日の結審公判を前に、旧統一教会が支援した民主党の高位の人物らの実名公開を予告していたが、当日、ユン元本部長はそれについて何も語らなかった。ユン元本部長はこの日の裁判でも消極的な姿勢を示したため、警察の捜査に協力するかは不透明だ。
さらに、ユン元本部長はこの日の裁判で、クォン議員の起訴を決定づける証拠となったダイアリーや札束の写真、ショートメッセージなどは違法に収集されたものだとして、証言を拒否した。ユン元本部長は「昨年12月から今までの1年に数十回にわたって事情聴取されたり、家宅捜索されたり、聴取で倒れたこともある」として、「私は理性的に(違法に収集された証拠だと)判断したのではなく、すさまじくそれを体で経験した」と主張した。
続いて特検チームから「韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁から2022年1月5日に1億ウォンの現金を受け取ったか」、「韓総裁にクォン・ソンドン被告に会うことを報告したことはあるか」などと問われ、「答えるのは難しい」と答えた。「被告人に1億ウォンを渡したことを認めないのか」と問われた際にも、「証言を拒否する」と述べた。ユン元本部長は、これまでの捜査や裁判の過程では、クォン議員に1億ウォンを渡したことはいずれも認めていたが、この日は過去とは異なる態度を示したのだ。
この日、証人として出廷したユン元本部長の配偶者のL氏も、特検チームの大半の尋問に証言を拒否した。L氏は「配偶者が裁判中であるため、今回の法廷では陳述拒否権を行使したい」と述べ、陳述拒否の意思を表明した。L氏は証人尋問が始まるやいなや、「余裕もなく、心理的に苦しい」として涙ぐんだ。
ただしL氏は、1億ウォンの現金を包んだことは認めた。L氏は「2022年1月5日、1億ウォンの現金を包んだ事実はあるか」と問われ、「現金が来たので包んだのは事実だ」としつつも、「(当時の)状況について具体的に(回答)しなくてもよいなら、しない」と述べて陳述を拒否した。
L氏は、普段からよく金を包んでいたとも陳述した。裁判長に「金を包むことは普段からよくあるのか」と問われると、L氏は「行事のたびによく包む」と答えた。L氏は「教会の行事は非常に多い」として、「(包んで)上にあげる」と語った。裁判官に「上というのはユン元本部長、チョン・ウォンジュ秘書室長らが含まれるのか」と問われると、「行事の際には秘書室を通じて総裁に上がる」と語った。「上とは韓総裁のことを言っているのか」と問われると、L氏は「はい」と答えた。