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【社説】拡大する中日対立、「軍事的緊張」高めてはならない

登録:2025-11-20 07:35 修正:2025-11-20 09:11
中国を訪問した日本外務省の金井正彰アジア大洋州局長(左)が北京の中国外交部で劉勁松アジア局長(右)との会談を終えた後、退出している=北京/AFP・聯合ニュース

 日本の高市早苗首相の軽率な「台湾有事」発言により、中国と日本が終わりの見えない対立局面に突入した。この対立は、挫折と屈辱に満ちた近現代史の傷を抱える中国人の「集団的アイデンティティ」と、明治時代から長期間にわたり形成された日本人の「安全保障認識」が正面衝突した深刻な問題だ。解決策の模索がきわめて困難な難題であるだけに、両国は地域内での「軍事的緊張」を高めるおそれのある無責任な動きを極力自制し、時間がかかっても対話と妥協を通じて問題を解決していくべきだ。韓国政府も今回の事態を注意深く見守り、中日対立の荒波が韓国にまで及ばないよう、慎重かつ思慮深い態度を維持してほしい。

 中国外交部の劉勁松アジア局長は18日、今回の事態の解決策を模索するために北京を訪問した日本外務省の金井正彰アジア大洋州局長と会談した。その後の発表内容から、両国の明確な立場の違いが読み取れる。劉局長は高市首相の言葉が「中日関係の政治的基礎を根本的に損なうものであり、性質と影響はきわめて悪く、中国人民の公憤と非難を買った」として、発言の「撤回」を要求した。これに先立ち、13日、孫衛東副部長は金杉憲治駐中大使に対し、日中戦争にまで言及して、日本は「歴史的責任を深く反省せよ」と厳しく言い放った。

 これに対して日本は、「わが国の政府が以前から一貫して維持してきた立場を説明した」として、発言撤回要求を拒否している。日本は日清戦争(1894~1895)の結果、台湾を植民地として取得した後、120年ほどかけて朝鮮半島(少なくとも南部)~日本列島~台湾を自分たちの直接・間接的な影響力のもとに置く安全保障体制を構築してきた。日本国内では、集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」の適用範囲を台湾有事にまで拡大可能とする首相の発言は軽率だったが、「本質的に間違った話をしたわけではない」とする世論が大勢を占めている。中国は引き続き強力な「限日令」措置を打ち出していくだろうが、日本が動く余地は多くないようにみえる。

 懸念されるのは、中日両国が領土紛争を繰り広げている尖閣諸島(中国名・釣魚島)などに向けて、中国が海軍などを動員した物理的圧力を加えてくるケースだ。そうなると日本も対応し、地域内での軍事的緊張が高まるおそれがある。この余波は、韓米日の三角安全保障協力の枠組みに縛られている韓国にも及ぶ可能性がある。このような不幸な事態だけは防がなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1230161.html韓国語原文入力:2025-11-19 18:43
訳M.S

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