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韓米ファクトシート「台湾海峡の安定」明示…米「韓国の原潜、中国けん制に活用」

登録:2025-11-17 07:53 修正:2025-11-17 10:56
「一方的な現状変更に反対」内容は 
2023年の「キャンプデービッド宣言」に類似 
中国への対応に対する米の関与要求強まる
李在明大統領と中国の習近平国家主席が1日、慶尚北道の国立慶州博物館で韓中首脳会談を前に握手を交わしている/聯合ニュース

 韓米両政府が14日に発表した安保交渉に関する共同ファクトシート(説明資料、概要書)は、中国に直に言及してはいないものの、「台湾海峡の安定」など中国をけん制するためのものと解釈しうる文言が多数含まれている。先日訪韓した米海軍作戦部長が、原子力潜水艦は「中国をけん制するのに用いられるというのは自然な予測」だと述べるなど、中国けん制に対する米国からの関与要求は次第に強まっている。

 共同ファクトシートに記されている中国けん制関連の表現の中で最も目立つのは、台湾海峡の安定に言及している部分だ。「両首脳は台湾海峡での平和と安定の維持の重要性を強調した。両首脳は両岸問題の平和的解決を促しつつ、一方的な現状変更に反対した」という内容だ。また、中国の一方的な領有権主張を批判するために使われる「航行の自由の保障」や、新疆ウイグル自治区などでの強制労役を批判していると思われる「強制労働で生産された製品の輸入の防止を共同で推進する」という内容などが、ファクトシートに記されている。

 とりわけ台湾問題は、中国が主権や領土などと直結する「核心利益」とみなしているという点で中国を刺激しうるが、2023年8月の韓米日キャンプデービッド宣言に記されている「台湾海峡での力による現象変更に反対」するという内容と類似しているという点で、中国に対する表現を調節したものと考えうる。

 ファクトシートに記された原潜の建造も、中国を刺激する恐れがある。韓国政府は北朝鮮に対する抑止力の観点からの対応だとの立場だが、米国は中国けん制の意図を隠していない。今月13日に訪韓した米海軍のダリル・コードル作戦部長はその翌日、韓国の記者団に対し、原潜が「中国をけん制するのに用いられるというのは自然な予測」だと述べている。同氏は「台湾有事の際、在韓米軍や韓国軍が役割を果たすべきだと思うか」と問われ、「具体的にどのようなやり方になるかは言えないが、明らかに一定の役割はあるだろう」と述べてもいる。

 中国はこのことに対する不快感を隠していない。戴兵駐韓中国大使は13日の国内外の記者との懇談会で、「韓米間の原潜協力は単なる商業的協力の次元にとどまらず、国際不拡散体制と朝鮮半島域内の平和や安定と直結する事案だ。韓国側も懸念を十分に考慮し、この問題を慎重に処理してほしい」と述べている。中国外務省が表明している従来の立場から一歩踏み込むものだ。

 政府は、中国との「戦略的協力パートナーシップ」を強調しつつ、メッセージ管理に努めるものとみられる。世宗研究所のキム・ジョンソプ首席研究委員は「米国の要求があるので中国けん制から完璧に距離を置くことはできないため、できる限り原則的な観点から(ファクトシートで)妥協的な表現を探ったとみられる」とし、「中国との関係は緊張せざるを得ないが、中国との協力関係も復元し発展させていくという、バランスの取れた姿勢を堅持していくことが重要だ」と述べた。梨花女子大学のパク・ウォンゴン教授は「ファクトシートを見ると、同盟の現代化を語っているが、在韓米軍の役割を拡大するものと読むべきだと思う」として、「米国の優先的対応は台湾海峡であり、中国を最も大きな脅威と考えていることは明らかだ」と述べた。

ソ・ヨンジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1229555.html韓国語原文入力:2025-11-17 06:00
訳D.K

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