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北朝鮮国防省報道官は昨年10月19日、朝鮮中央通信で「韓国軍部による重大主権侵害挑発事件（無人機浸透）が決定的な物証の確保とそれに対する客観的で科学的な捜査を通じて明確に確証された」と発表した/朝鮮中央通信・聯合ニュース

　韓国の与党「共に民主党」のキム・ビョンジュ最高委員は14日、ドローン作戦司令部内の白ニョン島（ペンニョンド）にある部隊で昨年10～11月に3回にわたり北朝鮮に向け無人機を合計7機飛ばし、このうち1機が平壌（ピョンヤン）に落ちたと主張した。

　キム最高委員はこの日、「文化放送」（MBC）のラジオ番組で、「（昨年）10月3日に2機を飛ばしたが、そのまま帰還しており、10月8日午後11時と9日未明にも4機を飛ばしたが、そのうち3機が帰還し、1機が平壌に落ちた」と述べた。さらに「（昨年）11月13日に軍事基地の密集している北朝鮮の南浦（ナムポ）に2機を（飛ばすことを）計画したが、1機が帰還したため、次の1機は飛ばさなかった」と補足した。キム最高委員は「実際ドローン司令部に勤める幹部の複数から詳しい情報提供を受けた。いろいろな資料も受け取った」とし、情報提供の内容の信頼度は高いと説明した。

　特に、昨年10月3日と8日に北朝鮮に向けて飛ばした無人機の座標は、金正恩（キム・ジョンウン）国務委員長の宿舎と推定される「北朝鮮平壌15号官邸」だと述べた。さらに「ビラを投下する地点を最終目標と見るべきだ」としたうえで、「それを入力してその地域に行けば、ビラ箱が切り離される。切り離されながらビラが落ちる」と語った。

　さらに「10月3日（の情報）は座標で受け取ったが、後で見たら北朝鮮の15号官邸」だったとし、「15号官邸は平壌にあるが、非常に主要な施設だ。金正恩の宿舎と推定され、労働党1号庁舎や護衛司令部または金日成総合大学、外務省内閣総合庁舎など主要機関が集まっている」と話した。キム最高委員は「これは北朝鮮の心臓部に刺激を与え、韓国に対応措置を取るように誘導したのではないかと疑われる」と補足した。

昨年10月3日、8～9日に北朝鮮の平壌に向けて飛ばされた無人機の飛行ルート（左）と北朝鮮が公開した無人機の飛行ルート＝キム・ビョンジュ議員室提供//ハンギョレ新聞社

　また「10月8日に飛ばしたのは、その日は最初から15号官邸と命令されたと（情報提供者に）言われた」とし、「15号官邸と最初は座標で渡したが、9日に落ちる時は15号官邸付近に投下しろと任務を受けたと言っていた」と述べた。

　キム最高委員は特に「ドローン司令官が司令部下の旅団と大隊を経由せずに、白ニョン島にいる中隊長または小隊長に直接電話し、飛行ルートと目標地点を伝えた」とし、「これもあらかじめ渡したのではなく、離陸する3～4時間前に伝えた」と話した。さらに「北朝鮮15号官邸を（目標に）指示できるのは高官級だ。（例えば）大統領室安保室や合同参謀本部の情報本部、防諜司令部など（が考えられる）」と付け加えた。

昨年11月13日に北朝鮮に浸透した無人機の飛行ルート。左がキム・ヨンデ司令官か指示したルート、右は実際の飛行ルート＝キム・ビョンジュ議員室提供//ハンギョレ新聞社

　昨年11月13日は、無人機の目標は北朝鮮の南浦（ナムポ）だったという。キム最高委員によると、「11月13日は温泉飛行場という戦闘飛行場を経由して南浦に入るルートだったが、戦闘飛行場を経由するのは危険すぎる。なぜなら、そこはレーダー基地もあり、対空陣地も密集しているため、実務者が飛ばす前に危険だと言って問題提起した」という。さらに「それでルートを再設定したが、飛行場だけを避けて大同江（テドンガン）に沿って入ったが、北朝鮮の潜水艦の基地がいくつも密集しているところを指定され、仕方なく実行したが、とても不思議だった（という）」とし、「これは無人機が無事に帰還できるようにするのではなく、自殺行為をさせているのではないかと思ったという」と伝えた。

　キム最高委員は「南浦に北朝鮮の核心となる軍団があり、主に延坪島（ヨンピョンド）砲撃挑発とかNLL（北方境界線）付近で様々な挑発をした核心部隊が全て関与した地域で、攻撃性が強い地域」だと説明した。

　キム最高委員は「（10月3日と8日に）敵の心臓に向けて銃を向けたが、何の反応もなかったため、今度は（11月13日に）首に刀を突きつけて反応を試したようなもの」とし、「実際、北朝鮮にここまで浸透してビラを撒くほどのこととなると、長年の軍経歴からみて、大統領の決断ではない限り考えられない」と主張した。