日本に強制動員され帰国しようとした朝鮮人労働者を乗せ、1945年8月24日に沈没した浮島丸の犠牲者のうち、これまで韓国政府から慰労金を受け取った人は146人に過ぎないことが分かった。被害を証明する資料不足によるものだが、最近日本が提出した乗船者名簿を根拠に慰労金を支給できるようにする法案が23日に発議された。
行政安全部傘下の「対日抗争期強制動員被害支援課」が野党「共に民主党」のユン・フドク議員に提出した資料によると、浮島丸の沈没と関連して死亡・行方不明者慰労金を申請した151人のうち145人が認められ、残りは棄却(5人)・却下(1人)された。支給された死亡者慰労金の総額は29億9800万ウォン(約3億2300万円)。負傷者慰労金は1人が申請して300万ウォン(約32万3千円)を受け取った。慰労金は2010年から5年間運営された「対日抗争期強制動員被害調査および国外強制動員犠牲者等支援委員会」(強制動員支援委員会)が調査して支給した。
浮島丸の乗船者数について日本政府は3700人余りと発表したが、遺族たちは8千~1万2千人だと主張する。乗船者名簿が公開されなかったため、正確な犠牲者数も把握できず、被害を証明する資料が十分ではなく、犠牲者のごく一部の146人だけが慰労金を受け取った。
5日、日本政府が事件発生から79年ぶりに乗船者名簿を韓国に渡したことで、被害者救済の重要な契機がつくられた。問題は強制動員支援委員会の活動が終了したうえ、2010年に制定された「対日抗争期強制動員被害調査および国外強制動員犠牲者等支援に関する特別法」(強制動員犠牲者支援特別法)によると、同委員会に申請し調査中の場合のみ国家が慰労金を支給できるという点だ。
ユン・フドク議員がこの日、議員52人を代表して発議した強制動員犠牲者支援特別法改正案には「国家が外国と交渉して当該国家が保管中の対日抗争期強制動員被害を証明できる新しい資料を確保した場合」、行政安全部長官が被害者の申請あるいは職権により再調査し、慰労金を支給できる条項が新たに設けられた。これにより、過去に資料不足で申請できなかった被害者と遺族も名簿を根拠に新たに申請できるようにする道を開く内容だ。