裁判所は26日、放送通信委員会(放通委)が「2人体制」の下で選任した文化放送(MBC)の大株主、放送文化振興会(放文振)の理事陣の任命効力を停止する決定を下した。これに対し、与野党は真逆の反応を示した。与党は「三権分立原則に反する決定」だとして遺憾の意を示したが、野党は「尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の放送掌握の試みにブレーキをかけた」と一斉に歓迎の意を表明した。
与党「国民の力」のメディア特別委員会はこの日の決定後、「行政機関に当たる放通委の手続きと規定に則ってなされた人事権の執行が司法府の決定により効力が侵害されたことは、行政、立法、司法の三権分立原則に反する」として、「公共放送の正常化という尹錫悦政権の主要な国政課題の推進に、司法府の突発的な決定によって重大な支障が生じたことを、非常に残念に思う」との声明を発表した。そして「政府は効力停止仮処分認容決定に対して直ちに抗告し、本案訴訟にも積極的に臨んで、放文振の理事選任の適法性と妥当性を必ず立証しなければならない」と付け加えた。
大統領室は「見守る」と述べるにとどまった。大統領室の高位関係者はこの日、記者団に対して「(大統領室は)司法府の判断は常に尊重する」としつつも、「抗告審で(改めて)判断を受けることになるだろう」と語った。
野党からは「事は必ず正しきに帰す(事必帰正)、当然の結果」だとの反応が示されている。共に民主党のチョ・スンレ首席報道担当はこの日のブリーフィングで、「(裁判所の決定で)与党側の理事だけで構成された2人体制の放通委の違法性、ずさんで拙速な理事選任の違法性が再確認された」と述べるとともに、「裁判所は(この日の決定で)尹錫悦政権がおこなった脱法にブレーキをかけ、公共放送の価値を再確認した」と意味付けた。祖国革新党のキム・ボヒョプ首席報道担当も論評で、「尹錫悦政権の『メディア掌握』暴走機関車にブレーキをかけた裁判所の決定を歓迎する」、「尹錫悦政権には何が問題なのか原点から点検してもらいたい」と述べた。
ソウル行政裁判所行政12部(カン・ジェウォン裁判長)はこの日、放文振のクォン・テソン理事長とキム・ギジュン、パク・ソナの各理事が放通委による新理事任命処分の効力停止を求めた仮処分の申し立てを認容した。放通委は先月31日、イ・ジンスク委員長とキム・テギュ副委員長の任命からわずか10時間後に、放文振の新たな理事として西江大のキム・ドンリュル教授、TV朝鮮視聴者委員会のソン・ジョンミ委員ら6人を選任したが、この日の裁判所の判決により、これら理事陣の任期は任命取り消しを求める本案訴訟の結果が出るまで停止される。