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【社説】「2人体制放通委」にブレーキかけた司法、尹大統領は放送掌握をやめよ

登録:2024-08-27 00:03 修正:2024-08-27 10:22
新任のイ・ジンスク放送通信委員長が今年7月31日午前、京畿道果川市の政府果川庁舎内の放送通信委員会で行われた就任式で、就任のあいさつをおこなっている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 司法が、イ・ジンスク放送通信委員長体制で断行された文化放送(MBC)の大株主である放送文化振興会(放文振)の理事任命の効力を停止する決定を下した。与野党の推薦委員の合意制で運営されることになっている放通委が与党の2人の推薦委員だけで開催され、放文振の理事を選任したのは違法だ、との判断だ。放通委「2人体制」の違法性はすでに、放文振のクォン・テソン理事長に関する事件で、最高裁の判断まで経て認められている。にもかかわらず、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は司法府の判断を無視して、韓国放送(KBS)に続いて政権に批判的なMBCをも掌握しようとして、このような恥をかいた。

 ソウル行政裁判所は26日、新任のイ・ジンスク放通委員長とキム・テギュ副委員長による6人の後任理事の任命の効力を停止するよう求めた放文振の複数の前理事の訴えを認容した。イ・ジンスク委員長らは尹大統領から任命状を受け取った当日の先月31日、受け取りからわずか1時間あまり後に放文振の理事とKBSの理事の任命を議決した。志願者の政党加入の有無や虚偽履歴などもきちんと確認しておらず、面接も省略した拙速議決だった。司法はこれに対して「放通委は政治的多様性を委員の構成に反映し、放送の自由と公共性および公益性という立法目的を達成しなければならない。この事件の理事任命はたった2人の委員の審議および決定によって行われたため、放通委法が成し遂げようとしている立法目的を阻害する恐れがある」と述べた。与野党の推薦した5人の委員で委員会を構成し、合議制で意思決定を行うという放通委の設立趣旨に反するということだ。

 放通委2人体制の違法性は、昨年8月にクォン・テソン理事長の解任処分効力停止事件で再抗告まで経て確定した司法判断だ。放通委は現政権発足後、ハン・サンヒョク委員長を追い出して「3人体制」で運営され、イ・ドングァン元委員長の時代から「2人体制」となった。放通委法に議事定足数規定がないことを悪用したもので、当時の裁判所はこれをきちんと看破したのだ。今回の判決でも司法は、「議事定足数規定がないのは、むしろ5人で構成された会議を前提としたもの」だと指摘している。

 尹大統領は放送通信委員長にイ・ドングァン、キム・ホンイル、イ・ジンスクを連続起用することで、KBSとYTNに続いてMBCまで掌握しようとしている。今回の判決は、尹大統領のこのような試みは放送の自由と公益性を侵害しているということをはっきりと確認した。口だけでなく行動で「自由民主主義」を示せという警告も同然だ。尹大統領には、違法な公営放送掌握を試みるのをやめ、民生に専念してもらいたい。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1155417.html韓国語原文入力:2024-08-26 18:10
訳D.K

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