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MBC記者ら「殺害脅迫はすでに経験済み…大統領室がヘイトを共有」=韓国

登録:2024-03-18 06:26 修正:2024-03-21 07:14
大統領室首席秘書官の「刺身包丁襲撃事件」発言に 
「冗談とは受け止められない」
2022年11月21日、「日刊ベスト貯蔵所(イルベ)」掲示板に投稿された文化放送(MBC)のイ・ギジュ記者の殺害脅迫文=イ・ギジュ記者提供//ハンギョレ新聞社

 ファン・サンム大統領室市民社会首席秘書官の「刺身包丁襲撃事件」発言を受け、「文化放送」(MBC)内部では「大統領室でMBCに対し、単なる『嫌い』を越え、『目の前から消したい』レベルの認識を共有している」という指摘が出た。2022年の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の「卑俗語発言」報道以降、MBCの記者に対する殺害脅迫と各種のサイバーテロがすでにあっただけに、ファン首席の発言に刺激された一部の過激な政府支持層による攻撃の試みが再び現実化しかねないという懸念の声も相次いだ。

 MBCのイ・ギジュ記者は17日、ハンギョレとの電話インタビューで、「(2022年11月)当時、イルベ(「日刊ベスト貯蔵所」 保守・右翼的な電子掲示板サイト)の脅迫文でも、『刺身包丁で刺し殺す』という内容があったので、ファン首席の今回の発言を聞いて驚いた」と語った。さらに「大統領室高官との通話中にも『そこまでにしとけ、それ以上やるとMBCのお前らは皆死ぬ』という話を聞いたことがあるが、大統領室の人々がMBCに対する極端なヘイト(嫌悪)を共有しているならば、危険であり惨憺たること」だという考えを示した。

 イ記者は2022年11月18日、出勤途中の略式会見(囲み取材)の際、MBCが報じた「尹大統領の暴言(バイデン-台無しにすれば」報道について「悪意的な行動」だと批判した尹錫悦大統領に対し、「何が悪意的なのか」と問い詰めたうえで、これを止めようとしたイ・ギジョン大統領室広報企画秘書官と言い争いになった。それ以降、極右色のインターネットコミュニティ「イルベ」にはイ記者を狙って「私が先頭を切り、MBCに行って(イ記者を)殺す」という内容の投稿があった。市民の通報で出動した警察がイ記者に身辺保護のためのスマートウォッチを支給した。

 MBCが尹大統領の卑俗語発言報道などをめぐり現政権と対立してきたうえ、過去に実際に殺害脅迫の事例まであっただけに、イ記者はファン首席の発言を決して「冗談」とは受け止められないという点を強調した。イ記者は「政府を批判する報道をする度、告訴・告発され、記者が捜査対象になっている。報道局内のほぼすべてのチームに捜査を受けている記者がいる」とし、「公共放送の記者という使命感で皆が耐えているが、心理的に萎縮し苦しんでいるのではないかと心配だ」と伝えた。

 実際、イ記者が経験した事件以前には、やはりMBC所属のI記者に対するサイバーテロと過度な「(個人情報などの)晒し」が問題になった。I記者は尹大統領の卑俗語発言当日の2022年9月22日(韓国時間基準)、MBCの昼のニュース番組でこのニュースを報じてから、サイバーテロ水準の無差別「ネット晒し」と人身攻撃に遭った。電子メールとコミュニティおよびSNS掲示物、ユーチューブ動画へのコメントなどを通じてI記者を攻撃した一部のネットユーザーは、彼の家族を攻撃する発言まで吐き出した。I記者はその後ハン・ドンフン法務部長官(現「国民の力」非常対策委員長)の個人情報流出疑惑と関連し、警察の家宅捜索を受けた。

 イ記者は「ファン首席の前任者であるカン・スンギュ前市民社会首席も、MBCを狙って官製デモを要請した通話内訳が(マスコミ報道を通じて)明らかになった」とし、「MBCに対する反感を持った人々がファン首席の発言に刺激され、殺害脅迫の時のように暴力を犯すのではないかと心配している。心配が現実にならないことを願う」と付け加えた。

 ファン首席は14日、一部担当記者団との昼食会で、MBC記者を特定し、「MBCはよく聞け」としたうえで、「オ・ホングン記者に対する軍情報司令部の刺身包丁襲撃事件」に言及し、物議を醸した。同事件は1988年、月刊誌に軍事政権批判コラムを書いたオ・ホングン記者が軍情報司令部の軍人たちの襲撃に遭ったこと指す。ファン首席は問題発言直後に「冗談」だと言ったが、波紋が広がったことを受け、16日に担当記者団にメッセージで謝罪文を送った。

パク・カンス、チェ・ソンジン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/media/1132572.html韓国語原文入力:2024-03-18 01:23
訳H.J

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