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尹大統領、選挙介入との批判にも…全国巡回する「マイウェイ」

登録:2024-03-08 06:38 修正:2024-03-20 09:12
尹大統領、暮らしの問題を解決するためと主張 
野党、公職選挙法違反で告発
尹錫悦大統領が7日、仁川市の松島コンベンシアで開かれた首都圏広域急行鉄道(GTX)B路線着工記念式で、記念セレモニーを行っている=大統領室提供//ハンギョレ新聞社

 4月の韓国総選挙を控えて続いている尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の「民生討論会」をめぐり、事実上「選挙介入」ではないかという批判の声が上がっている。野党は「不法官権選挙」だとして、尹錫悦大統領を公職選挙法違反の疑いでソウル警察庁に7日に告発するなど争点化に乗り出した一方、与党は「大統領が民生問題(暮らしの問題)に取り組むのは義務」だと反論した。大統領室は「民生討論会は選挙とは関係ない」と線を引いた。

 尹大統領はこの日、仁川(インチョン)市庁で「大韓民国の関門都市、世界に広がる仁川」をテーマにした18回目の民生討論会を開き、「仁川の海、空、地すべてを確実に変えていく」とし、地域開発事業の迅速な推進を約束した。尹大統領は「京仁高速道路の地下化は任期の2027年までに着工する。京仁線鉄道の地下化は2026年には計画を樹立する」と述べた。また「仁川とソウルを30分以内につなぐGTX事業を速やかに進める」と語った。

 尹大統領は仁川市の松島(ソンド)コンベンシアで行われた「首都圏広域急行鉄道(GTX)B路線着工記念式」にも出席し、「仁川市民の皆さんとの約束を必ず守る」と述べた。

 民生討論会は1月4日からこの日まで18回行われた。当初の趣旨は、政府各部署の新年業務報告を関連部署当局者だけでなく一般国民も参加する「現場中心」の形に変えることだった。しかし民生討論会のテーマや開催場所、内容を見れば「ばらまき政策発表」という指摘を免れないとみられる。

 これまで半導体など経済イシューを争点に討論を開催してきた尹大統領は、旧正月の連休以降、先月13日から「地方時代」を名目に首都圏以外の地域を回りながら討論会を開いている。「新空港広域急行鉄道を建設」(大邱)、「軍事施設保護区域の解除」(忠清南道)など、大半が地域開発と社会間接資本(SOC)事業の推進などが取り上げられた。政府ですでに推進している政策か、与野党の合意が必要な法改正事項、民間企業の投資事案に対し、政府が全面的に支援するという約束が多かった。総選挙で与党「国民の力」が攻略地域とする京畿道(8回)、慶尚道(4回)、ソウル市(3回)、忠清道(2回)△仁川市(1回)などで討論会が主に開かれた。大統領室は当初、民生討論会を3月初めまで約10回開く予定で企画したが、総選挙と関係なく今年は続ける方針を示した。

 歴代大統領もこれまで、4月に行われる総選挙を控え地域を訪れたことで、選挙介入をめぐり議論になったことがある。朴槿恵(パク・クネ)元大統領が2016年3月に赤い服(与党のカラー)を着て釜山市の創造経済革新センターを訪れたことや、文在寅(ムン・ジェイン)前大統領が2020年4月初めに慶尚北道亀尾(クミ)と江原道江陵(カンヌン)などを訪問したことは、いずれも野党の批判を受けた。ところが、尹大統領は1月から平均「週2回」の割合で民生討論会という定例的な形で全国を回っている。

 これに対し野党の「共に民主党」は、公務員が職務または職位を利用して選挙に不当な影響力を行使してはならないと定めた公職選挙法第85条1項違反だとし、尹大統領を公職選挙法違反の疑いでソウル警察庁に告発した。民主党の「尹錫悦政権官権選挙阻止対策委員会」は「尹大統領は討論会の名目で全国を回りながら、守れない約束をして不法官権選挙を行っている」とし、「明らかに総選挙で国民の力を支援するためのもの」だと批判した。

 これに対し大統領室関係者は「今、尹大統領は熱心に暮らしの問題に取り組んでいる」とし、「尹大統領が提示する政策の多くは国の未来のための長期的な計画である場合が多い。選挙用というのは様々な面で誤った主張だ」と反論した。民主党が「約925兆ウォン(約103兆円)のばらまきが約束された」と批判したことについても、同関係者は「政府財政と民間投資(半導体クラスター造成622兆ウォンなど)を区別せず出た話」だとし、「中央政府の財政が投入されるのは10%未満とみている」と反論した。全羅道地域では民生討論会が開かれなかったという指摘については、「意味ある政策を発表できるほど政策の成熟度が高いところなら、どこでも民生討論会を開くことができる」と語った。

 国民の力のハン・ドンフン非常対策委員長も、「大統領が暮らしの問題に関心を傾けるのは義務であり、野党がけちをつける問題ではない」と野党に反論した。ハン委員長はまた、「(文在寅政権で)2020年(4月の総選挙当時)、コロナ禍を理由に現金をばらまいたのが官権選挙」だと主張した。

ペ・ジヒョン、イ・スンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/election/1131393.html韓国語原文入力: 2024-03-08 01:28
訳H.J

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