悪質なクレームに苦しみ自殺した大田(テジョン)の小学校教員が病気休暇を取って不在だった際に後任としてやって来た期間制教員も、生徒の問題行動と保護者のクレームに耐えられず、わずか20日で辞めていた。このような証言が公開された。
大田教員労組は19日、このような内容の期間制教員Aさんの証言を公開した。35年の経歴を持つAさんは、2019年11月、先日亡くなった儒城区(ユソング)のある小学校の教員Sさん(42)の後任として、Sさんの受け持っていたクラスを任されたが、4人の生徒の問題行動に苦しめられたと証言した。4人の生徒は、Sさんが生前に大田教員労組に提供した情報に登場する問題の生徒たちだ。
Sさんがこの生徒たちの問題行動と保護者からの悪質なクレームで精神的なショックを受け、病気休暇を取っていた間に、Aさんは同クラスの担任となったが、その間も問題が続いていたということだ。Aさんは教員労組に「普通、1年生の学級は明るくて朗らかな雰囲気が感じられるが、当時の学級は問題として言及される『4人組』が強すぎて、他の生徒たちが気おされているという、重くて暗い感じを受けた」とし、「出勤初日に管理者などから、生徒Bと残りの3人の生徒たちにはかかわらない方が良く、特に生徒Bは何をしても放っておけと助言された」と証言した。
4人のうちの1人がクラスメイトの手の甲を強くつねっていじめているのを見たAさんは、その1人を呼んで指導した。Aさんは管理者から「そのことで保護者が気分を悪くしている」という内容を伝えられたという。Aさんは「正当な指導であるにもかかわらずクレームが入ったということ、生徒たちから教権を侵害されても教員としてできることがないことなどから、もはや期間制勤務を続けるのは難しいと思って辞めた」と語った。
大田教員労組のイ・ユンギョン委員長は「35年目の経歴のある期間制教員も耐えられなかった苦しみを、故人となった先生は一人で耐え忍んでいた」とし、「教権侵害から保護される仕組みがなく、教員が一人で戦って耐えなければならないという現実は変わっていない」と話した。
一方、小学校教師労組と大田教師労組は21日に国会で記者会見を行い、Sさんの死の殉職認定を求める予定だ。