経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で、韓国は仕事と生活を調和させる「ワークライフバランス」のレベルが最下位圏に位置するという調査結果があらわれた。長時間労働のため、仕事と余暇時間を労働者個人がコントロールして配分できる「時間の主権」がそれだけ足りないことを意味する。
韓国保健社会研究院が発行した「保健社会研究」に最近掲載された江西大学のノ・ヘジン教授(社会福祉学)の論文「仕事と生活の均衡時間保障の類型化」を16日に確認したところ、韓国は労働時間が長すぎて家族と過ごす時間が短い、すなわちワークライフバランスの保障水準が低い国に分類された。2021年基準でOECD31カ国の労働時間と家族と過ごす時間に関する26の指標と制度を点数化して比較した結果だ。
ノ教授はまず31カ国を、労働時間・家族との時間の保障が全て高い▽労働時間の保障だけ高い▽家族との時間の保障だけ高い▽労働時間・家族との時間の保障全て低いという4グループに分けた。韓国は米国、ギリシャなどと共に労働時間・家族との時間の保障が全て低く、労働時間が長すぎ家族との時間が短いグループに属した。(適正)労働時間の保障水準の順位が下から3番目と非常に低いのは、調査対象国の中でも特に長い労働時間(年1915時間)などの影響だ。家族との時間においても韓国は1点満点で0.37点、31カ国のうち20番目で下位圏だった。制度上保障された休暇の長さ(0.93点)などでの点数は高かったが、休暇使用率(0.18点)、休暇による所得代替率(0.4点)などの点数が低いためだ。
これは労働者の時間の主権、その中でも労働時間を減らすことができる社会条件の重要性を示している。働く時間を減らしても生計が脅かされない適切な所得水準、労働の代わりに余暇時間を選ぶよう支援する社会政策などが国別類型を分けた。例えばノルウェー、スウェーデンなどは適正労働時間と所得の保障などを通じて、短い労働時間と長い家族との時間でワークライフバランスの水準が最上位圏の国に挙げられた。
韓国政府は3月に労働時間改編策を発表し、労働者の時間の主権確保を強調したが、その方法は延長労働柔軟化に偏り、現実的には労働時間を増やす方向に作用しうるという懸念がある。ノ教授は「韓国社会でワークライフバランスを保障するためには、労働時間の次元で(適正)時間を保障する努力が急がれる」と指摘した。
雇用形態などに伴う国内の労働者の時間の不平等も拡大する傾向にある。ノ教授が生活時間の調査資料を活用して分析した結果(論文「20年間の韓国社会の労働時間変化」)によれば、賃金労働者の一日の平均有給労働時間は、1999年の450.8分から2019年には341.7分へと大きく減った。一方、同じ期間に自営業者や特殊雇用労働者など非賃金労働者の一日の総労働時間は408.9分から357.8分と減り幅が少なく、賃金労働者よりも労働時間が長くなった。週40時間勤務制と週最大52時間勤務制の導入など、制度的には労働時間が減りつづけてきたが、このような制度の死角地帯や不安定な境遇の労働者であるほど、労働時間短縮の恩恵を受けられなかったことを意味する。