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週69時間労働?104年前にILOは「48時間」を提示した=韓国

登録:2023-03-30 23:08 修正:2023-03-31 07:32
30日、ソウル汝矣島の国会議員会館で「尹錫悦政権の労働時間改悪と労働者健康権討論会」で、熱い討論が繰り広げられている=パン・ジュホ記者//ハンギョレ新聞社

 「週52時間はすでに長時間労働だ」

 漢陽大学職業環境医学科のキム・イナ教授は、韓国政府が進める労働時間改編案の問題点をこのように指摘した。30日、民主労総、韓国労総、民主党、正義党、基本所得党が共に開いた討論会「尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の労働時間改悪と労働者健康権」で、キム教授は「世界労働機関(ILO)は2012年報告書で、ほんの1週間でも(労働時間が)48時間を越えてはならないという立場を示した」として、政府案を批判した。

 健康権専門家のキム教授は、政府が「労働時間改編」のたたき台作りのために昨年7月に発足させた未来労働市場研究会に参加したが、政府の労働時間延長案を中心に進む議論に反発し、同年11月、研究会を辞めた事実が最近明らかになった。キム教授はこの日の討論会で、労働者の健康を考慮した1週間当たりの最大労働時間として、「48時間」を提示した。現行の週52時間から働く時間を増やすのではなく、むしろ4時間を減らす必要があると主張したわけだ。

 キム教授は「週平均52時間以上の労働を量産しうる政府の制度改編案は、労働者の健康に悪影響を与えかねない」と指摘した。 現在、政府の労働時間改編案は週最大69時間、4週間平均64時間の労働ができるように設計されている。政府は「週最大52時間制の枠組みの中で」設計された延長労働改編案だと説明しているが、韓国の法定労働時間(40時間)に例外的な延長労働(12時間)を加えた52時間を労働時間の議論の出発点としたこと自体が、国際的な流れに反すると批判されている。キム教授は「政府の改編案には高齢、短期契約職、日雇いなど低賃金のせいで長時間労働をする仕事を探さざるを得ない労働者の健康を守るための最小限の保護措置すら講じられていない」と指摘した。

 実際「48時間」は、ILOの「1919年の労働時間(工業)条約(第1号)」が示した1週間の労働時間だ。主要国はやむなく延長労働を柔軟化せざるを得ない場合でも、できるだけ短い単位期間に平均48時間は超えない範囲で行うことを原則としている。例えばデンマークは4週間平均、ドイツは1年平均の週労働時間が48時間を超えないよう定めている。もちろん、これらの国は標準労働時間(35~40時間)や年間総労働時間(1300時間台)自体が韓国(1915時間)とは比べものにならないほど短い。キム教授は「未来労働研究会でもこのような内容のかなりの部分を話した」と語った。

 この日の討論会では、労働時間の柔軟化が特に労働市場で脆弱な立場に置かれている労働者の健康権を深刻に脅かしかねないという懸念の声も相次いだ。討論に先立って発表を行ったパク・ソンウ労務士(職場パワハラ119)は「政府改編案には深刻な問題点があるが、労組のある事業場では防ぐことができる。結局、この法案の問題は労組がない企業、全体の80%である100人未満の中小零細企業の労働者に被害が集中する点にある」と指摘した。

パン・ジュンホ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1085860.html韓国語原文入力:2023-03-30 20:52
訳H.J

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