韓国政府は、日本による福島第一原発の汚染水の海洋放出に対する国民の不安を解消するためとして、15日から毎日定例会見を行う。
国務調整室のパク・クヨン国務第1次長は15日、政府ソウル庁舎で行った「福島第一原発汚染水放出に関する定例会見」で「科学的事実にもとづいた情報を頻繁に提供することが必要だという判断に至り、定例会見を毎日実施することとなった」と語った。この日の第1回目の会見にはパク国務第1次長以外にも、海洋水産部のソン・サングン次官が発表者として出席したほか、原子力安全委員会のシン・ジェシク放射線防災局長をはじめとする政府関係者が多数参加した。
この日の会見で政府は、日本の放出準備作業の進捗状況を説明するとともに、メディアに問題点として指摘された内容について積極的に釈明した。
パク国務第1次長は、多核種除去設備(ALPS)による処理後も最大で基準値の2万倍の放射性物質が検出されるという報道について、「東京電力が公開している貯蔵タンクの汚染水の核種ごとの放射能濃度を示した資料で、ストロンチウムの濃度の最大値として、リットル当たり約43万3千ベクレルが検出されたという内容」であり、「この検出値が韓国の排出基準であるリットル当たり20ベクレルの約2万倍に当たる数値であることは事実」ではあるが、「基準値を超える汚染水がそのまま放出されるわけではない」と釈明した。パク次長は「日本はこのような汚染水が基準値を満たすまでALPSで浄化し、希釈後に放出すると表明している」と付け加えた。
東電は汚染水の上澄みだけを試料として採取しているため代表性が足りないという一部の報道について、パク次長は「その試料は国際原子力機関(IAEA)の確証モニタリングのために採取したものではない、目的がまったく異なる試料採取だった」と釈明した。
福島第一原発の汚染水放出によって被害を受ける漁業者への支援と、海洋環境汚染の回復を主な内容とする特別法案が、12日に国会に上程されたことに関して、海洋水産部のソン・サングン次官は「まだ発生していない被害に対する補償と回復を議論するのは時期尚早」だとし、否定的な立場を明らかにした。ソン次官は「特別法の制定議論は、現段階では慎重な検討が必要だと考えられる」として「韓国の水産物に対する国民の不安を軽くし、怪談などの市場かく乱行為によって水産業界に被害が発生しないようにすることが順序としては先だ」と語った。
政府は「定例会見は、国民の不安が十分に解消されるまで週末を除いて毎日実施する予定」だと明らかにした。しかし、放出を準備している肝心の日本政府や東電は、このような毎日の会見を行っていない。これについて、環境運動連合のアン・ジェフン活動処長は「日本政府を代弁する内容の会見を毎日実施するというのは、韓国政府のなすべきことなのか」とし「そのような時間にむしろ汚染水放出の影響を把握した方が良いだろう」と述べた。