韓国政府と野党は国会での対政府質問最終日の14日にも、福島原発汚染水の海洋放出の安全性をめぐり舌戦を続けた。与党は尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の福祉・報勲分野政策の成果を強調することに力を入れた。
野党「共に民主党」はこの日国会で開かれた教育・社会・文化分野の対政府質問で、福島原発汚染水の海洋放出問題をめぐり、前日に続いて政府与党に攻勢をかけた。同党のナム・インスン議員はハン・ドクス首相に「日本が海洋放出にこだわる理由は、原発事故の痕跡を消せるうえに最も安価で簡単な方法であるため」だとし、「(原発)事故が起きた場合、汚染水を海に投棄する非常に悪い先例を作ることになる」と指摘した。
これに対し、ハン首相は「今後日本が行う予定の30年間にわたる海洋放出の過程で、執拗かつ徹底的に国際機関と協力しながら科学的な措置が取られるようにする」とし、「違法で非科学的な海洋放出が行われた場合は、大韓民国が先頭に立ってそのような問題に反対しなければならない」と述べた。
政府が国際原子力機関(IAEA)の調査結果を疑いもせず従っているという指摘も出た。民主党のユン・ジュンビョン議員は「IAEAは東電の試料だけを採取し分析しており、(東電から受け取った)情報も偏ったものであるため、分析結果が一貫していない」とし、「極めて限られた検証に過ぎないのに(韓国政府は)これに従っている。政府は国民の信頼を得られるよう独自に試料を採取し検証すべきだ」と述べた。
特にハン首相が12日の政治・外交・統一・安保分野の対政府質問で、世界保健機関(WHO)の飲用基準を満たせば汚染水を「飲める」と発言したことに対しても攻勢が続いた。ナム・インスン議員は「首相は(汚染水を)一度飲むだけの話だが、福島沖と太平洋の魚たちは30年にわたり(汚染水に)されされ続ける。それについてどう思うか」と尋ねた。これに対してハン首相は「(国際的飲用)基準を満たしていれば、(原発汚染水から)韓国国民の健康は守られると思う」と答弁した。
与党「国民の力」は、尹錫悦政権の政策を強調した。ユン・ジュギョン議員は、「(国家報勲処が)国家報勲部に昇格したのは尹錫悦政権の大きな業績であり、第21代国会が収めた与野党協力の成果だ」と述べた。ユン議員は尹奉吉(ユン・ボンギル:朝鮮の独立運動家。1932年上海虹口公園でひらかれた日本居留民による天長節祝賀会の会場で爆弾を投げて日本の高官たちに重傷を負わせた)義士の孫娘にあたる。一方、同党のキム・イェジ議員は政府の障害者政策予算の拡大を要求した。視覚障害をもつキム議員は、点字で印刷された質疑資料をもとに国務委員に対して落ち着いて質疑を行い、本会場の議員たちから拍手を受けた。