11日に統営市(トンヨンシ)のチョン・ヨンギ市長が福島第一原発の汚染水の放出について「対策は持っているがうるさく騒ぐ理由はない」と述べたことについて、同市のある漁業者が「(漁業者を萎縮させることを狙った)意図的な発言だ」と批判した。
17日、慶尚南道統営市で30年にわたりカキ養殖業を営んでいるイ・ギミョンさんは、文化放送(MBC)のラジオ番組「キム・ジョンベの視線集中」でのインタビューで、「統営市は全国の海洋水産の最重要地だと自負する町」だとし、「市長ともあろう人が、第一線で汚染水放出反対の先頭に立つことはできなくても、このような妄言を口にするとはどういうことか」と語った。
イさんは、チョン市長の発言は「意図的」なものだと考えている。イさんは「政府は反対の立場を表明するなと漁業者に圧力をかける立場だ。漁業者たちはためらっており、萎縮している」とし、「実は4月11日にも原発汚染水反対決起大会をしようとして李舜臣(イ・スンシン)公園で計画されていたが、政府と水協組合から圧力をかけられて結局できなかった」と話した。
イさんは「慶尚南道の関係者も、日本の原発汚染水は米国などの先進国においてさえ科学的実験が中止され、汚染水が沈殿すれば生態系には特に影響ないだろうという趣旨のことを言った」とし、「漁業者は借金や政府の補助金に従属している。これでは漁業者は萎縮せざるを得ない」と語った。チョン市長の発言もこのような圧力の一種だというのだ。
汚染水の放出は「漁業者は死ねという話」だというのが統営の漁業者たちの考えだ。イさんは、韓国の福島第一原発汚染水視察団が汚染水試料を特に採取しないとされていることについても怒りをあらわにした。イさんは「検証団は汚染水を採取すべきだ。しないつもりなら何をしに日本に行くのか。もはや日本に従って同意するのと変わらない。政府がこのような状態で行くなら、ほかに方法がない。漁業者たちは南から北へと向かい、政権退陣運動に突入するだろう」と述べた。また「(政府からは)安全だという話もなく、口をつぐんでいる」、「何が何でも(汚染水の放出を)止めなければならない」と強調した。
統営市のチョン・ヨンギ市長は11日、統営市役所内の会議室で開かれた記者懇談会で、福島第一原発の汚染水の放出について問われ、「対応策は明確に持っている。だが、やたらと言及したり騒いだりすると統営の水産物の消費心理が萎縮しうる。政府がまだ何の措置も取っていないのに、自治体が先に騒ぐ必要はないと思う」と語り、地域社会から反発が起きている。