光州民主化運動に参加した市民を「北朝鮮軍」と称し、名誉毀損の疑いで裁判にかけられたチ・マンウォン被告(81)に実刑が確定した。高齢を理由に下級審の段階で法廷拘束されなかったチ被告は、近いうちに拘禁される予定だ。
最高裁3部(主審:ノ・ジョンヒ最高裁判事)は12日、情報通信網利用促進および情報保護などに関する法律違反(名誉毀損)・死者名誉毀損などの疑いで裁判に付されたチ被告に懲役2年を宣告した原審を確定した。
チ被告は自身が運営するホームページで、5・18民主化運動に参加した光州市民を「光州で活動した北朝鮮特殊軍」という意味で「クァンス(光殊)」と称し、映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』の実在人物である故キム・サボク氏に対して「アカ」とレッテルを貼り、名誉棄損の疑惑を受けている。チ被告はカトリック光州大教区の正義平和委員会に対して「共産主義者」と称し、名誉毀損の疑いも持たれている。
一審はチ被告に懲役2年と罰金100万ウォン(約10万6000円)を宣告した。一審は「(チ被告の行為は)5・18光州民主化運動の歴史的意義と価値を卑下するもので、誹謗の目的が認められる」と判断した。二審もチ被告に対して「罪質と犯情が悪く、犯行回数が少なくない。被害者から許しを受けられておらず、これらの事件に関して反省しているとみられない」としつつも「5・18民主化運動に対する法的・歴史的評価が確立されたため、チ被告の犯行によって5・18民主化運動に対する社会的評価が根本的に変わることはないとみられる」とし、懲役2年を宣告した。ただし、チ被告が高齢である点を考慮して法廷拘束は行わなかった。
最高裁は「原審の判断に、論理と経験の法則に違反し自由心証主義の限界を越えたり、法理を誤解した誤りはない」として原審判決を確定した。在宅起訴を受けた被告に実刑を宣告した判決が確定し、検察による判決執行手続きだけが残ることになった。チ被告を裁判に付したソウル中央地検は「チ被告に数日以内に出頭するよう告げ、刑を執行する予定」だと述べた。