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「保守系支持層」だけを見ている尹錫悦大統領室、支持率は守ったが…中道層は冷ややか

登録:2022-12-12 10:33 修正:2022-12-12 12:49
貨物連帯ストライキへの強硬対応や 
出勤時の取材対応中止でメッセージリスク除去などが影響
尹錫悦大統領が9日、龍山大統領室で大統領直属の国民統合委員会顧問団との昼食懇談会の前に発言している=大統領室提供//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の国政遂行支持率が、さまざまな調査で上昇傾向を示している。一部の調査では、大統領室が1次目標とする支持率40%を超える結果も出ている。支持率の上昇傾向には「支持層結集作戦」が功を奏したと分析されている。

 韓国ギャラップが9日に発表した世論調査結果によれば、6~8日に全国の成人1000人を対象にした調査(信頼水準95%、誤差範囲±3.1ポイント)における尹大統領の職務遂行を評価するという回答は33%で、3週連続で小幅に上昇した。秋夕(チュソク、旧暦のお盆)直後の9月第3週目の水準に回復した。特に与党「国民の力」の支持層で、11月第4週目から3週間にわたり支持の比率が67%→71%→73%へと上昇した。

 今月5日に発表されたリアルメーターの調査も同様だ。リアルメーターが「メディアトリビューン」の依頼で先月28日から今月2日まで全国の成人2507人を対象に調査した結果(信頼水準95%、誤差範囲±2.0ポイント)によると、尹大統領の国政遂行に対する支持は38.9%で、7月第1週目(37.0%)の時に40%台が崩れて以来、5カ月ぶりに30%後半台を回復した。

 これまで「安定した40%台の支持率」は、新年を迎える与党内部で必ず達成すべき課題とみなされてきた。少なくとも40%台の支持率を担保しなければ、任期2年目の国政の動力を上げることが難しいからだ。来年初めに予定された国民の力の党大会と、その後の総選挙の局面まで、支持率と大統領の影響力は切り離して考えることはできない。

 大統領室内部では、鼓舞的なムードが漂っている。与党では、民主労総公共運輸労組貨物連帯本部(貨物連帯)のストライキの状況で、尹大統領の強硬メッセージが支持層の結集を導いたとみる意見がある。尹大統領の朝の出勤時の取材対応中止によって、突発的な「メッセージリスク」がなくなった点も支持率上昇の要因に挙げられる。大統領室関係者は「支持率に対しては一喜一憂しないというのが公式の立場」だとしながらも「支持率をさらに引き上げる策を考えている」と話した。

 しかし、尹大統領の支持率上昇傾向は中道層の外縁拡張ではなく、「保守層結集」という点が限界といえる。ギャラップの「政府は貨物連帯など労働界のストライキに適切に対応していると思うか」との質問に対し、全体の51%が「適切でない」と答え、「適切に対応している」(31%)という回答を大きく上回った。「適切に対応している」という回答は、国民の力の支持層では65%だったが、無党派層では19%、野党「共に民主党」と「正義党」の支持層ではそれぞれ5%、20%にとどまった。

 慶北大学政治外交学科のチェ・ジャンス教授は「労働などの進歩系の議題に保守支持層が強く反応することと、尹大統領の象徴的な言説である『法と原則』が浮き彫りになったことが相まって、支持率上昇に影響を与えたとみられる」とし、「陣営に分かれて敵対的な共存現象が続いている状況で、政治の空間が失われているというのが残念な点」だと述べた。

 「時代精神研究所」のオム・ギョンヨン所長は「政府・与党ならば協治、対話、統合といった肯定的な国政基調が反映され、支持率を引き上げるのが正しい」とし、「現在の基調は中道・無所属層を牽引できるカードではないので、長期的に国政運営基調を変え、好感度を改善しなければならない」と話した。記事に引用された資料は中央選挙世論調査審議委員会のホームページを参照。

キム・ミナ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1071157.html韓国語原文入力:2022-12-12 09:57
訳C.M

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