民主労総全国公共運輸社会サービス労働組合貨物連帯本部(貨物連帯)のストライキが続く中、先週、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が参謀たちとの非公開会議において貨物運送労働者たちのストについて「北朝鮮の核の脅威と同じ」、「原則を打ち立てるべき」という強硬発言を行っていたことが確認された。尹大統領が労働者のストを国家安保に対する脅威に例えるというやり方で労組に対する敵対的認識を表明したことで、対立を悪化させているとの批判の声があがっている。
大統領室の高官は5日、本紙に対し「(尹大統領の発言は)『北朝鮮の核問題も原則に従って対応していたら、ここまで来ていなかっただろう。難しい問題であるほど原則を打ち立てることが重要だ』との趣旨だった」と説明した。別の高官は「北朝鮮の恐喝・脅迫戦略と民主労総の態度は同じだという話」だとし、「過去のように妥協はしないという明確な話だった」と付け加えた。
尹大統領はこの日、ソウル江南区(カンナムグ)のあるホテルで行われた国家朝食祈祷会にも参加し「自由と連帯の精神が息づき、法と原則が正しく確立されている国を作るために最善を尽くす」と述べた。宗教界の行事においても、貨物連帯のストを念頭に強硬基調を繰り返し確認したものと読み取れる。
尹大統領は、先月29日にセメント分野の運送拒否者に対する業務開始命令を発動してからも「違法と犯罪を基盤とする争議行為には最後まで法的責任を問う」(今月2日の内部会議)、「法治主義に対する深刻な脅威」(4日の関係長官対策会議)と述べて圧力を強めている。大統領が先頭に立って貨物連帯のストに「違法」のレッテルを貼るとともに、歪曲されたメッセージを際立たせているのだ。6日に民主労総の全面ストライキが予告されている中、労政対立は極に達するものとみられる。
政府はただし、6日に行われるハン・ドクス首相主宰の定例国務会議では、さらなる業務開始命令は発動しないとみられる。大統領室のある関係者は「業務開始命令の発動のための準備はすべて整っている」と語ったが、「直ちに業務開始命令を発動すべきほどの峠ではないと判断される」と述べた。政府は、精油分野では軍のタンクローリーと代替人員の投入で急場はしのいだと考えており、鉄鋼部門は供給余力を確認しているという。
貨物連帯のストに対する政府の強硬基調は、6月7日から8日間続いた貨物連帯の第1次スト当時の経験が反映されていると分析される。6月は貨物連帯と国土交通部が「安全運賃制を継続的に推進するとともに、品目拡大などを議論する」ことで合意し、ストは一段落したが、経営側からは「政府は事実上白旗投降した」との批判の声があがった。尹大統領は「民主労総・労組嫌悪」感情を基盤として支持層を結集させることができるとの戦略を立てているとみられる。中央大学のイ・ビョンフン教授(社会学)は、「すべての国民を束ねて国政を展開すべき大統領が、貨物連帯に敵対的な暴言ばかりを日常的に吐いているのは、労組のストに批判的な世論調査を背景として、支持率に役立つと考えているからかもしれない」とし、「社会対立事案において一方の立場ばかりを代弁し、敵意に燃えるような話ばかりをすることで、大統領は社会対立を悪化させている」と述べた。