全国教職員労働組合(全教組)の結成と参加教師の解職過程で、安全企画部の企画により国家機関11カ所が総動員され、査察や不法監禁など全方位的な弾圧を加えた事実が明らかになった。1989年の全教組結成以来33年目にしてなされた国家の真実究明だ。
真実・和解のための過去事整理委員会(真実和解委)は9日、「国家が全教組参加教師に対して査察し脱退を促し、不法監禁、司法処理、解職など全方位から弾圧した。国家はイ・ブヨン元全教組委員長など申請者247人に対して、労働の自由、幸福追求権、プライバシーの自由、職業の自由などの人権を侵害した」と明らかにした。真実和解委は前日に開いた全員会議で、全教組の結成と関連して1500人余りの教師が解職された事件は「不当な公権力による重大な人権侵害」と決定した。
真実和解委は、全教組弾圧の過程で「安全企画部の総括企画の下で、文教部、法務部、保安司令部、警察など11の国家機関が総動員され、全方位的な弾圧で人権侵害が発生した」と判断した。1989年8月、安全企画部は「全教組懲戒措置以後の展望と対策」という文書で、教師懲戒の現況などに言及し、対策として「政府の全教組加担教師懲戒に対する当為性確保と、悪化しつつある世論を反転させるために、全教組の結成目標が『真の教育』を口実に左翼理念である『民衆教育論』を教育界に拡散させることにあることを広報し、国民の共感を形成し、教育界から果敢に追放しなければならない」と提示した。
国家機関は安全企画部の企画に徹底的に協力した。法務部(最高検察庁)は労組主導者に対する強力な司法措置、理念的背景に対する捜査および公表、左派勢力の捜査および検挙、労組を支える支援団体の捜査を進め、全教組問題を「公安事件化」した。文教部は「教員専担室」などの教員査察機構を設置し、教師や公務員ではなく保護者と教師家族などの動向まで把握し、その情報を情報・捜査機関に提供した。文教部はまた、全教組教師らの行政訴訟や憲法裁判所に対する違憲法律審判などに対応するため、憲法裁判所と裁判所を相手に全面的なロビー活動を行った。保安司令部は教師尾行や家宅侵入などの不法を犯し、警察は全教組の集会活動を妨害するために、参加した教師を別の場所に連行し、数日間不法監禁した。さらに第一線の警察や洞長(町長)などの末端公務員までも選抜し、教師の家族に「離婚を要求」したり「自殺騒動を促す」方法が動員された事実も明らかになった。
真実和解委、国家が被害者に公式謝罪し、被害回復のための賠償・補償などをしなければならないとも勧告した。チョン・グンシク真実和解委委員長は「違法で不当な公権力の行使について、被害者に対する謝罪と被害回復のための適切な措置などが伴わなければならない」と述べた。これに先立って金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府は、全教組の活動を民主化運動と認定したが、解職教師に対する被害補償支援は行わなかった。
全教組はこの日、ソウル市龍山(ヨンサン)の大統領室前で記者会見を開き、「結成から33年ぶりに国家レベルの真相究明のための第一歩を踏み出した」と歓迎の意を明らかにした。全教組は「全教組活動を理由に一挙一動を監視され、家族までアカの烙印を押されて破綻に至った日常など、国家暴力は1500人の解職教師の人生に刻み込まれている」とし、「国家暴力によって、“街頭の教師”として5年を超える時間を過ごさなければならなかった解職教師たちは教壇に復帰したが、これまで被害教師に対する支援方案は皆無だった」と話した。それと共に「今からでも政府は全教組結成と関連して、解職教師に対する国家次元の公式的な謝罪と被害回復のための賠償・補償手続きを進めなければならない」と要求した。