訴訟の過程で裁判所に100億ウォン(約10億4000万円)にのぼる虚偽の残高証明書を提出したとして告発された尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の義母C氏について、警察は不送致の決定を下した。
21日の本紙の取材を総合すると、ソウル警察庁反腐敗・公共犯罪捜査隊は16日、詐欺未遂、不動産実名法違反、偽計による公務執行妨害の疑いが持たれていたC氏に対して、嫌疑なし・公訴権なしとして不送致を決定した。
市民団体「司法正義を正す市民行動(司正行)」は昨年12月、C氏が京畿道城南市島村洞(ソンナムシ・トチョンドン)の土地売買をめぐる契約金返還訴訟で虚偽の残高証明書を提出したとして、警察に告発していた。同団体はC氏を不動産実名法違反の疑いでも告発している。
警察は、C氏が偽造した残高証明書を裁判所に提出したことは認めたが、判決に何の影響も及ぼしていないと判断し、嫌疑なしとした。C氏は、同訴訟を担当したソウル中央地裁に虚偽の残高証明書を提出したものの、2013年に裁判所はC氏の請求を棄却しているためだ。最高裁の判例は、訴訟の内容や結果に影響を及ぼしえない証拠は裁判所を欺く、もしくは欺くという認識があったとは考えがたいとしている。警察はC氏の偽計による公務執行妨害の疑いについても、偽造した残高証明書が裁判所の職務執行を妨害したとは考えられないと判断し、嫌疑なしとした。
司正行は、C氏のソウル松坡区(ソンパグ)のアパート借名保有疑惑についても不動産実名法違反の疑いで告発したが、警察は2010年に公訴時効5年がすでに満了したとして、公訴権なしとして終結した。
一方、C氏は警察が今回不送致とした残高証明書偽造事件の他にも、349億5550万ウォン(約36億3000万円)を預けたかのように通帳残高証明書を偽造・使用し、法人名義を借りて土地を購入した疑いで起訴され、昨年12月に一審で懲役1年の有罪判決が下されている。現在は控訴審が行われている。