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[社説]また明らかになった「ユン・ソクヨル義母文書」、“検察私有化”ではないのか

登録:2021-09-30 04:17 修正:2021-09-30 10:32
ユン・ソクヨル前検察総長が29日、ソウル中区のバーテックスコリアで開かれた「夢と革新4.0ミリタリートーク、予備役の兵長たちが語り、ユン・ソクヨルが聞く」で、参加者の発言を聞いている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 ユン・ソクヨル前検察総長の義母のC氏が関与した事件に関し、最高検察庁が作成したもう一つの文書が29日に明らかになった。14日に明らかになった文書とは異なるもので、C氏に関する4つの疑惑のうち「京畿道城南市島村洞(ソンナムシ・トチョンドン)不動産詐欺事件」のみを別にまとめたものだ。作成時期は、先に公開された文書と同じ昨年3月。ユン前総長側は今回も「検察総長在職時代、いかなる違法・不当な指示をした事実もない」と説明したが、「告発教唆」疑惑に加え、ユン前総長の「検察私有化」批判がさらに強まるとみられる。

 この日、「世界日報」が公開した文書では、C氏が問題の事件に関して無罪だという論理と、C氏の弁護士の弁論の要旨が詳細にまとめられてある。この事件は、C氏が2013年に347億ウォン(約32億6000万円)台の「偽の銀行残高証明書」を作成し、50億ウォン(約4億7000万円)の差益を得たという疑いが持たれている事件だ。文書が作成された昨年3月には公訴時効が2週間ほどしか残されていなかったにもかかわらず、事件を担当した議政府(ウィジョンブ)地検がC氏の召喚すら行わなかったため、激しい批判が起きた。当時、ユン総長は「捜査状況を一切報告するな」と指示し、最高検察庁の関係者はメディアに「捜査状況には一切関与していない」と述べていた。しかし実際には、その時期に問題の文書が作られていたのだ。

 検察の内外では、国会やメディアに対応するために最高検察庁の所管部署が文書を作成したとみている。非常に不適切と言わざるを得ない。検察組織は総長個人の弁護士事務所でもないのに、どうして総長の義母の事件に関与するのか。そのうえ、最高検察庁が関連資料を収集して文書を作れば、その過程でどのような形であれ捜査に影響を及ぼす恐れもある。総長の指示の有無や文書の用途とは関係なしに、「検察の私有化」との批判は避けられない。文書を作成する過程で検察の内部ネットワークの資料を利用したのなら、違法の素地まで問わなければならない。

 パク・ポムゲ法務部長官はこの日、「存在するのはこれだけだとは思わない。法務部が直に行わなくても、それぞれの調査と捜査の主体が一生懸命やっている」と述べた。これを機に、検察総長の私的な問題に検察組織が動くことが慣行になってはいないかも徹底的に調査し、事実だと分かれば必ず正さなければならない。今は財閥のトップも、批判世論を意識して自分の私的な事件にはグループの法務チームを動員せず、個人弁護士の助力を得る時代だ。検察の名誉のためにも、誰が何のためにこのような文書を作成したのかが明らかにされなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1013261.html韓国語原文入力:2021-09-29 18:40
訳D.K

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