「…人が多すぎて下敷きになってます」(午後10時21分)
「(悲鳴)人が下敷きになってます。みんな死にそうです。はやくきてください!」(午後10時22分)
「(悲鳴)助けてください! 押さないで! お願いだから!」(午後10時23分)
「押すな! 押すな!(泣き叫ぶ声)」(午後10時23分)
「ちょっと待って。(悲鳴)助けて」(午後10時29分)
「(うめき声、悲鳴)ここ、人が死にそうです」(午後10時34分)
「梨泰院ですが、助けてください。お願い、助けてください」(午後10時39分)
156人が死亡した梨泰院(イテウォン)惨事の発生前後の、救助を要請する切迫した悲鳴が残っている119番(安全申告センター)通報の録音記録が公開された。惨事当日の10月29日午後10時15分の「圧死しそうだ」という最初の119番通報からはじまり、30日午前0時56分までに相次いで寄せられた100件の通報記録には、当時の惨状がありのままに記録されている。
共に民主党のチョン・ヨンギ議員が消防庁から8日に提出を受けて公開した119番通報の記録によると、午後10時15分から翌日の午前0時56分までに寄せられた100件の通報中、応答なしを除いた通報は87件。同日の午後10時19分に惨事現場に龍山(ヨンサン)消防署の救助隊が到着した後も、同日の午前0時過ぎまで「救急車と人員が不足している」という市民の差し迫った通報が相次いだ。
消防庁が惨事に関する最初の通報として公開した午後10時15分の「圧死」通報の直後から、対応第1段階が発令された午後10時43分までには、50件の通報があった。通報した人々は「ここ、死にそうです。早く来てください」、「ここで人が死にそうです。来てください。押しつぶされて死にそうです。大変なことになってます」、「人が多すぎて下敷きになってます」などと危機状況を119通報センターに訴えている。
午後10時21分以降の通報記録には「悲鳴」と「うめき声」が主に記録されている。「押すな」、「助けてくれ」と叫んだ後に言葉を続けられず途中で切れた通報もあった。午後11時13分の通報は「軍部隊を投入しても足りない。警察も消防官も全部来ても足りない状況だ。何人が死んだのか分からない」と訴えている。
ソウル警察庁のキム・グァンホ庁長が惨事発生を初めて認知した午後11時36分より前には、現場から「人が大勢路上に倒れている」という訴えが相次いでいた。
現場に到着した救急隊員たちが、人が多すぎて惨事が発生した場所に簡単に進入できない様子も生々しく記録されている。午後11時30分の通報の「友人が倒れて血を吐いている」との訴えに対し、119番の担当者は「消防車のところに行って救助隊を連れて行ってほしい。今は進入できない」と答えている。午後11時31分の通報は「人が50人以上倒れて呼吸困難を起こしていて、今助けを、助け、消防車が来ているのに進入できずにいる」と訴えている。
切迫した現場の状況を119通報センターがきちんと認知できていなかった様子もうかがえる。すでに龍山消防署が現場に出動していた午後10時26分の通報は「人がぎゅうぎゅうです。全然出られません。これが圧死かという感じ」と訴えているが、対応した119の担当者は「ひとまずできる限り外に出てください」と答えている。続いて10時30分の「どうか助けてくれ」との訴えにも「とりあえずできる限り避難しなければ。気をしっかりと持って、押されないようにして積極的に避難してください」と答えている。