「梨泰院(イテウォン)惨事」発生から3日目になり、哀悼に集中していた海外メディアも韓国政府責任論を指摘しはじめた。150人以上が犠牲になったむごい惨事に慎重な態度を示しながらも、当局の事前準備が充実していれば十分に防げた「人災」だったとの指摘が出ている。
米ニューヨークタイムズは31日(現地時間)、梨泰院惨事について、専門家の話として「絶対に避けられたはずだった」とし、「韓国政府のどの機関も、梨泰院で1年のうち一番忙しい日の夜に死亡した人々に対し全面的に責任を負う準備ができていなかったようだ」と指摘した。同紙は今回の惨事の原因を韓国政府の治安対応の失敗として挙げ、これを裏付ける事例を列挙した。
具体的に同紙は「K-POPスターのBTSが韓国で5万5000人の観衆を動員するショーを開いた時、警察は安全のために1300人を配置した」とし、韓国警察は「たとえ小さい規模のデモでも計画を立てることで有名だが、先週の土曜日の夜はそのようなことが行われなかった」と指摘した。同紙はさらに、当時「警察は137人だけが配置されたが、ほとんどは窃盗・麻薬・性犯罪の取り締まりが業務だった」とし「このような決定による人的損失のコストは明白だった。150人以上が死亡する結果を生んだ」と報じた。
さらに韓国政府の「責任転嫁」にも批判を突きつけた。同紙は「韓国政府の官僚たちは、先週土曜夜に梨泰院で起きた惨事に対して大半が口を固く閉ざしているが、韓国史上で平和な時期に起きた最悪の災害の一つに対して、多くの人が群衆治安維持に失敗した政府の責任を問うている」と報道した。
AFP通信も、梨泰院惨事に対する解説記事で「チケットのない公開の集まりであるハロウィーン行事だが、当局は過密を防ぐために積極的に状況を管理できたはず」だとし、当局の事前準備不足を問題視した。また、大規模惨事後に政府が見せた態度を指摘し「大衆の怒りが、政府と警察の明白な管理監督不足だとして爆発しているにもかかわらず、今まで誰も責任を取らずにいる」と付け加えた。韓国の高官らは、現在最優先すべきは事故の後遺症を処理することだとし、責任に対する質問を一蹴していると、同通信は指摘した。
英ガーディアンも同日、「事故現場に比較的少ない数の警察が配置されたという目撃者の指摘以降、メディアとインターネットで政府責任論が沸き起こっている」と報じた。多くの人が集まるが公式の主催者がいない集まりで、龍山区はハロウィーン行事を管理する計画を出したものの、新型コロナウイルス感染症防止対策▽飲み屋と食堂の安全点検▽ゴミ管理▽麻薬取締り政策などだけで、この地域に集結すると予想される人波をどのように統制するかは何も明らかにしなかったと報道した。
自国民5人が死亡したイラン外交部当局者は、最初から韓国政府の責任を直接取り上げた。イラン外交部のナセル・カンアニ報道官は31日、定例記者会見で「韓国政府が管理方法を知っていたなら、行事の管理をすべきだった」と述べた。日本のマスコミも警察の警備統制に問題点があったと指摘した。読売新聞は1日、1面トップ記事で「韓国政府の事故対策本部は31日の記者会見で『(窃盗や麻薬犯罪など)不法行為の防止や摘発に焦点を当てていた』と述べ、雑踏警備に不備があったことを事実上認めた」と指摘した。だが、今回のハロウィーンの場合、イベントとしての主催者がおらず「安全管理上の責任が曖昧だった可能性がある」と報じた。朝日新聞は1日付の社説で「多くの人出が予想されていた中で警備態勢は十分だったのか。解明すべき点は多い」としつつ「今回も(2014年のセウォル号惨事のように)前途有為な多くの若者たちを守れなかったことに自責の念が広がり、社会の安全に対する認識を改めて高める必要性が指摘されている」と述べた。