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発射→訓練→発射→訓練…「強対強の対峙」の出口見つからない朝鮮半島

登録:2022-10-07 05:53 修正:2022-10-07 07:34
北朝鮮、前回から2日で再びミサイル発射 
米空母の東海再出動に反発 
北朝鮮、戦闘機・爆撃機「編隊飛行」 
さらなる軍事行動を止めるこれといった方法は見出せず
北朝鮮が6日午前、平壌から東海上に短距離弾道ミサイル2発を発射した。北朝鮮は今月4日、慈江道舞坪里一帯から太平洋に中距離弾道ミサイルを発射したのに続き、2日後に再び弾道ミサイルを発射した。写真は同日、ソウル駅の待合室で北朝鮮ミサイル関連ニュースを視聴している市民の様子/聯合ニュース

 北朝鮮が6日、再び短距離弾道ミサイル2発を発射した。今月4日、慈江道舞坪里(ムピョンリ)一帯から火星12型と推定される中距離弾道ミサイルを日本上空を超えて太平洋に発射した2日後だ。今回のミサイル発射は、米空母が再び東海に出動し、韓米日の海上ミサイル防衛訓練を予定していることに対する武力示威とみられる。

 先月23日、米国の空母「ロナルド・レーガン」(10万3千トン級)が韓国入りした後、北朝鮮のミサイル発射→韓米日訓練→北朝鮮ミサイル発射→米空母の朝鮮半島再進入→北朝鮮ミサイル発射→韓米日訓練という形で強硬対立が続いている。南北間の小さな衝突が大きな戦争に広がらないよう、韓国政府が朝鮮半島情勢を安定的に管理し、「危機の悪循環」を断ち切らなければならないという声があがっている。

 合同参謀本部(合参)は同日、「午前6時1分から6時23分まで、北朝鮮平壌(ピョンヤン)の三石(サムソク)一帯から東海上に短距離弾道ミサイル2発が発射されたことを把握した」と発表した。合同参謀本部は「探知の結果、最初の短距離弾道ミサイルの飛行距離は約350キロメートル、高度は約80キロメートル、速度は約マッハ5(音速の5倍)であり、2番目の短距離弾道ミサイルの飛行距離は約800キロメートル、高度は約60キロメートル、速度は約マッハ6(音速の6倍)であることが分かった」と説明した。

 同日、北朝鮮がミサイルを発射したのは、米空母ロナルド・レーガンが東海に再び出動したことに対する反発の側面が強い。北朝鮮外務省は同日未明、公報文を通じて「米国が朝鮮半島水域に空母打撃群を再び送り、朝鮮半島と周辺地域の情勢安定に厳重な脅威を与えていることに注目している」と明らかにした。また「米国と一部の追従国らが朝鮮半島の軍事的緊張を高める『韓米合同演習』に対するわが軍の対応行動措置を、国連安全保障理事会に不当に持ち込んだことを強く糾弾する」として、このように明らかにした。今後ありうる「より強い」軍事行動の名分づくりであり、米国などに向けた「外交的警告」の意味を含んでいるものとみられる。北朝鮮は最近12日間に6回にわたってミサイルを発射しており、今後潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射や、7回目の核実験のような戦略挑発に出る可能性もある。

 同日午後2時頃、北朝鮮戦闘機8機、爆撃機4機が、韓国軍が設定した「特別監視線」を超えて編隊飛行を実施し、韓国軍が対応に乗り出した。合同参謀関係者は「韓国軍はF15K戦闘機など約30機による圧倒的な戦力で直ちに対応した」とし、「北朝鮮の今回の編隊飛行は異例で、空対地射撃訓練を並行して実施したものと推定される」と述べた。「特別監視線」はスピードの速い北朝鮮戦闘機が数分以内に首都圏上空に進入しうるため、休戦ラインから数十キロ以北の北朝鮮上空に韓国軍が任意に引いた線だ。北朝鮮がこれを越えれば、万一の状況に備えて韓国の戦闘機が対応出撃する。同日、北朝鮮軍は約1時間にわたって黄海道谷山(コクサン)一帯から黄州(ファンジュ)方向に武力示威のためとみられる編隊飛行を行ったという。北朝鮮軍がこのような飛行を行ったのは最近約1年間なかった異例の動きで、韓米日共同訓練などに対する反発を示すためと推定される。

 先月26~30日に東海で韓米、韓米日共同訓練後、韓国を離れた「ロナルド・レーガン」は4日、北朝鮮が中距離弾道ミサイルを発射したことを受けて東海に戻り、同日の韓米日ミサイル防衛訓練に参加した。同訓練には、韓国のイージス駆逐艦「世宗大王」(7600トン級)、米国の「ロナルド・レーガン」、イージス駆逐艦「ベンフォールド」(6900トン級)、日本の海上自衛隊のイージス駆逐艦「ちょうかい」(7500トン級)が参加した。同日、韓米日は北朝鮮の弾道ミサイル発射状況を想定し、標的情報の共有を通じて探知・追尾・迎撃する過程を熟達することに重点を置いて訓練を行った。

 韓米は、北朝鮮のさらなる軍事行動を止めるこれといった方法を見つけられずにいる。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は韓米同盟だけでなく韓米日安保協力の強化を強調している。尹大統領は同日、出勤時の囲み取材で「強力な韓米同盟、韓米日安全保障協力のもと、国民の生命と安全を徹底的に守る」と述べた。しかし同日午後の合同参謀本部(合参)の国政監査で、共に民主党のキム・ビョンジュ議員は、「前回、韓米日対潜水艦戦訓練を行い、ミサイル防衛訓練まで行うのは、韓米日同盟に吸い込まれることだ」と批判した。

 2017年に朝鮮半島の緊張がピークに達してから、翌年の対話ムードに移った時とは異なり、今は米中関係が最悪まで突き進み、「韓米日対朝中ロ」の対決構図が激しくなり、朝鮮半島の状況に突破口を見出すことがより一層難しくなった。北朝鮮の弾道ミサイル発射問題を話し合うために5日(現地時間)開かれた国連安全保障理事会(安保理)の緊急会合は、「安保理レベルの断固たる対応」を求める米国などと「米国にも責任がある」と主張する中ロ間の立場の相違だけを確認したまま終わった。

 国家安保室は同日、北朝鮮が短距離弾道ミサイル2発を発射したことについて、キム・ソンハン室長が主宰する緊急国家安全保障会議(NSC)常任委員会を開催した。安保室は報道資料で「常任委員らは、今回の挑発が北朝鮮の弾道ミサイル発射を論議するための国連安全保障理事会会議が開催された中で敢行された点に注目し、国際社会に対する黙過できない挑戦だとして強く糾弾した」と明らかにした。

クォン・ヒョクチョル記者、イ・ジェフン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1061724.html韓国語原文入:2022-10-07 02:46
訳H.J

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