尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の「エリザベス女王の棺への拝礼取り消し」をめぐる波紋が、20日にも広がりを見せた。野党の共に民主党は「外交惨事」だと指摘し、国民の力は「度を越した批判」だと反論した。
民主党のキム・ソンファン政策委議長は20日、院内対策会議で「交通統制を知らなかったなら無能であり、知っていたのに対策を立てられなかったなら、さらに大きな外交失敗であり、外交惨事」だと述べた。尹大統領夫妻が18日、英国ロンドンに到着した直後、現地交通事情などを理由にウェストミンスター寺院に正装安置された女王の棺に拝礼できなかった状況を指摘したのだ。
これに対し、国民の力のチュ・ホヨン院内代表は院内対策会議で「大統領の外交活動中には与野党が政争を自制し、特に大統領に対する批判を控えてきた」とし、「ところが、民主党が弔問のために行った大統領に対してあれこれと度を越した根拠のない批判をしており、懸念すべきことだ」と反論した。
同日開かれた国会の対政府質問でも再び攻防が繰り広げられた。ハン・ドクス首相は、「(尹大統領が女王の棺に拝礼できなかったのは)外交惨事ではないか」という民主党のミン・ホンチョル議員の質問に対し、「聖堂で営まれる葬儀が本当の葬儀であり、国葬とみなすべきだ。(尹大統領は)そこに外国首脳らと一緒に参列した」と答えた。女王の棺の前で拝礼はできなかったものの、翌日の国葬には参列したため、問題になることはないと援護したわけだ。対政府質問に出た国民の力のユン・サンヒョン議員も「弔問外交さえも政治的政争の道具にする姿勢は考え直すべきではないか」と述べた。
大統領室も「準備不足」や「冷遇」という批判に反論した。イ・ジェミョン大統領室副報道官はこの日、米ニューヨークで記者団に「交通状況が良くなく、(英国王室に)チャールズ国王主催のレセプションに遅れる可能性があるため、拝礼および記帳を翌日(19日)にしてほしいと要請され、王室の要請と案内に従った」と説明した。イ副報道官は「当然冷遇されたわけではないし、拝礼に失敗したわけでも、弔問が取り消されたわけでもない」とし、「尹大統領が遅刻したという主張もあるようだが、全く事実ではない」と付け加えた。