環境諸団体は、釜山市機張郡(プサンシ・キジャングン)の古里(コリ)原発2号機の稼働延長に向けて韓国水力原子力が作成した放射線環境影響評価書について、稼働延長で発生する核廃棄物の対策が抜け落ちているごまかしの評価書だと主張した。
環境運動連合脱核委員会と釜山(プサン)環境運動連合は18日午前、釜山市議会のブリーフィングルームで記者会見を行い、このように主張しつつ、「安全を無視した古里2号機の稼働延長推進の即刻中止」を求めた。韓水原は、原発最強国の建設を国政課題として掲げ、原発の割合を拡大することを決めた新政権の方針に沿って、来年4月に設計寿命を迎える古里2号機の稼働延長の手続きを踏んでいる。その一環として、韓水原は今年4月、古里2号機の運転を続けるために必要な周期的安全性評価報告書を原子力安全委員会に提出しており、8日からは放射線非常計画区域内の住民を対象として放射線環境影響評価書の草案の供覧を開始している。9月5日までに釜山と蔚山(ウルサン)、慶尚南道地域の16の基礎自治体の住民の意見を聞き、原安委による稼働延長についての審査に反映するという。
公開された草案を検討した環境団体はこの日の記者会見で「古里2号機の稼働を延長すれば、古里原発の使用済み核燃料がいっぱいになる時期が当初の2031年より前倒しにならざるを得ないため、(韓水原が)古里2号機に(使用済み核燃料の保存間隔を従来よりも短縮する)稠密貯蔵施設を作るとしていることは、根本対策にはなりえない」、「使用済み核燃料対策とそれに伴う安全性評価が盛り込まれていない放射線環境影響評価は、存在するリスクを隠蔽するごまかしに過ぎない」と主張した。
環境団体は、重大事故が起きた際の死亡率や集団線量のような被害を放射線環境影響評価が定量的に提示していないことも問題として指摘した。「法的に重大事故の影響を評価しなければならないのに、やったそぶりをして略式で済ませており、海外の原発との比較結果を提示していないのは、国内の原発の過密集を隠そうとしたもの」。海外の原発より地域の人口密度が高い国内の原発の相対的危険性は大きく見えるため、韓水原はそれを提示していないのだという主張だ。
この日の記者会見で原子力安全研究所のハン・ビョンソプ所長は、古里2号機で重大事故が発生すれば、1週間以内に最大で165人の死者が出る放出シナリオ研究の結果を紹介し、「がん発生による死者は平均で8220人、最大で3万4700人発生しうる」と警告した。ハン所長はまた「テロなどにより古里2号機でチェルノブイリ事故のような重大事故が発生すれば、全国で早期に最大633人の死者が発生し、使用済み核燃料プールが破壊されて火災が発生すれば、早期に最大で76万4000人が死亡する大きな被害が引き起こされうる」と語った。
GI地盤情報研究所のキム・ソンウク所長は「慶州(キョンジュ)と浦項(ポハン)の地震によって、東海岸にある原子力発電所の立地は過去の考え方とは異なり良くないという事実が明らかになりはじめた」とし、「稼働を延長するには、まず地震のリスクと活性断層についての安全基準をきちんと適用すべき」と語った。キム所長は「古里原発は周辺に人口が密集しているのはもちろん、狭い地域で多数の号機が運用中のため、安全性に対する評価は以前より保守的にならなければならない」と強調した。
環境諸団体は「安全性と危険性を無視した古里2号機の稼働延長は、800万人が居住する釜山、蔚山、慶尚南道の市民を危険に陥れる政策」だとし、政府と韓水原に古里2号機の稼働延長の中止を求めた。