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[社説]日増しに安くなる再生可能エネルギー、原発にこだわっている時ではない

登録:2022-07-15 03:06 修正:2022-07-15 08:45
尹錫悦大統領が先月22日、慶尚南道昌原市の斗山エナビリティで、韓国型原発(APR1400)について説明を受けている=昌原/大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 国際再生可能エネルギー機関(IRENA)が13日(現地時間)、全世界の昨年の太陽光と風力の発電コストは1年前に比べ13~15%低下したとの内容を盛り込んだ報告書「2021再生可能エネルギー発電コスト」を発表した。昨年中に新たに追加された再生可能エネルギー発電設備の「均等化発電原価」を分析してみたところ、新規陸上風力の平均発電コストは前年に比べ15%、太陽光と海上風力は13%低下していたという。均等化発電原価とは、発電に投じられた費用の総和を発電量で割った値のことで、各発電源の経済性を比較する指標として用いられる。昨年中に増設された全世界の再生可能エネルギー発電設備の容量は世界の新規発電設備の81%を占め、前年より2ポイント上昇したという。経済性が日増しに良くなっているのだから当然のことだ。

 韓国では「原発=安価なエネルギー」という認識が依然として強いが、世界的には経済性の側面で再生エネルギーが原発を圧倒している。グローバル資産運用会社「ラザード」が昨年10月に発表した報告書によると、太陽光の1メガワット時(MWh)当たりの平均発電単価は、2009年の359ドルから昨年は36ドルへと90%も安くなっている。風力も135ドルから38ドルへと72%下がっている。同じ期間に、原発の発電単価は123ドルから167ドルへと36%上がっている。原発は、すでに再生エネルギーより4.5倍ほど高いエネルギーになっているのだ。「エネルギー転換」という全地球的な流れに乗って再生可能エネルギーに対する投資が増えたことで日増しに技術が発展している一方、原発は福島第一原発事故以降、規制が強化されたことで建設費などが膨らんでいるためだ。

 欧州をはじめ、先進国は先を争って再生可能エネルギー中心のエネルギー政策を打ち出している。欧州委員会は今年5月、現在は22%の再生エネルギーの割合を2030年までに45%へと拡大すると発表している。1年前の目標値(40%)を上方修正したのだ。ロシア産の化石燃料への依存から早く抜け出すためだという。エネルギー危機の解決策として再生可能エネルギーの拡大を選択したわけだ。

 しかし韓国は「原発最強国建設」を掲げ、このような流れに逆行している。2030年までに原発の割合を「30%以上」へと増やし、再生可能エネルギーの割合は「合理的な」水準に調整するという。既存の再生可能エネルギー目標値(2030年に30.2%)が高すぎるため、引き下げるとの趣旨だ。遠からず、企業が再生可能エネルギーを使用しているかどうかが新たな「貿易の壁」として作用する可能性が高いにもかかわらず、市場性さえ不透明な原発産業ばかりにこだわっているのは残念だ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1051013.html韓国語原文入力:2022-07-14 18:59
訳D.K

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