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尹政権「原発の割合を30%以上にまで拡大」…脱原発政策の代替を公式化

登録:2022-07-07 03:08 修正:2022-07-07 08:27
国務会議、「新政権のエネルギー政策の方向性」決定 
「新ハヌル3、4号機建設の早期再開の根拠づくり」
試運転中の新ハヌル1号機(左)と運用許可を控えている新ハヌル2号機(右)=韓国水力原子力提供//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は、原発の割合の拡大目標を「2030年までに30%以上」とすることを公式化した。

 政府は5日午前、尹錫悦大統領主宰の国務会議で、このような内容を柱とする「新政権のエネルギー政策の方向性」を決定した。原発の割合の拡大は新政権の国政課題に含まれており、先月発表された新政権の経済政策の方向性でも再確認されている。この日の国務会議での決定は、拡大の水準を「30%以上」と具体化することで、政府の政策として公式化したという意味を持つ。政府は「新政権のエネルギー政策の方向性は、『エネルギー転換(脱原発)ロードマップ』『第3次エネルギー基本計画』などの原発の段階的削減を明示した前政権の政策を対内外的に代替する」と述べた。

 新政権のエネルギー政策の方向性は、まず原発について、新ハヌル3、4号機の建設再開と安全性の確保を前提とした原発継続推進などを通じて、2030年の電力ミックスにおいて原発の割合を30%以上に拡大することとした。「30%以上」は文在寅(ムン・ジェイン)政権の計画より「6.1ポイント以上」高めるもの。文在寅政権は昨年、2030年の国が決定する貢献(NDC、国別の温室効果ガス削減目標)を確定した際に、2030年の原発の割合を23.9%と設定している。原発の割合は昨年現在で27.4%。

 エネルギー政策の方向性は、再生エネルギーについては具体的な割合目標までは提示せず、実現可能性や住民の受け入れ度などを考慮して合理的水準に調整するとした。国政課題や経済政策の方向性で明らかにした水準より具体化されたものはないが、原発の割合の拡大を反映して前政権より目標を縮小することを明確にしたのだ。

 石炭火力発電については「合理的削減誘導」を政策の方向性として明確にした。これも表現上、前政権よりは後退したとみられる。石炭発電はエネルギー部門の温室効果ガス排出の主犯であるため、炭素中立(カーボンニュートラル)実現のためには迅速な廃止が不可避だ。文在寅政権は2019年に確定した第3次エネルギー基本計画で「果敢な削減」を方向性として提示するとともに、新規の石炭火力発電所の建設禁止を明示している。

 今回の新政権のエネルギー政策の方向性が、既存のエネルギー基本計画をも代替するものだと政府が明らかにしたのは、エネルギー基本計画の樹立根拠がなくなっているため修正も不可能だからだ。エネルギー基本計画は低炭素グリーン成長基本法が根拠となっているが、同法を代替した炭素中立基本法はこの根拠条項が抜けている。そのため、政府はエネルギー法を改正して樹立の根拠法とすることにしているが、国会での可決が遅れている。

 新ハヌル3、4号機建設の早期再開をはじめとする「脱・脱原発」政策が実際に実行されるためには、エネルギー基本計画とその下位計画である電力需給基本計画にそれを盛り込まなければならない。しかし、エネルギー基本計画の修正が難しくなったことで、新政権のエネルギー政策の方向性を「脱・脱原発政策」の公式の根拠にすることとしたわけだ。

 文在寅政権の脱原発政策も、まず脱原発ロードマップを発表した後に電力需給計画を修正し、それからエネルギー基本計画に反映する過程を経ている。これを手続き違反だとする当時の野党の指摘に対し、監査院は監査を経て「手続き的に問題はない」との結論を下している。

 政府は「新ハヌル3、4号機の建設再開が行政府の最高意思決定手続きに沿って確定されたため、今年の新ハヌル3、4号機の設計分野の事業費120億ウォン(約12億5000万円)の早期執行の根拠も生じた」と述べた。

 グリーンピースのチャン・ダウル政策専門委員は「炭素中立基本法にもとづき、第1次炭素中立基本計画をまず立て、年度ごと、部門ごとの温室効果ガス削減目標を確定してから、第10次電力需給基本計画を通じて既存の発電ミックスを調整する、というのが正しい順序だ。しかし産業部は、法的根拠のない『新政権のエネルギー政策の方向性』発表にもとづいて新ハヌル3、4号機の建設を早期に推進しようとしている」と批判した。

キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/1049689.html韓国語原文入力:2022-07-05 11:13
訳D.K

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