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韓国政府「4回目接種を50代まで拡大」…文在寅政権とは違う「科学防疫」はなかった

登録:2022-07-13 20:16 修正:2022-07-14 07:06
政府「50代まで4回目接種を拡大」 
4回目接種率の向上策はなし 
ソーシャル・ディスタンシングも個人任せ 
「自主防疫では拡散を抑制できない」
韓国の新型コロナ新規感染者が4万266人を記録した13日午前、ソウル市江南区の新型コロナ選別診療所で市民が検査を受けるために並んでいる=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 韓国政府が新型コロナワクチンの4回目接種対象を満50歳以上と基礎疾患を持つ満18歳以上に広げる。感染者の7日間隔離義務は維持するものの、全国民対象のソーシャル・ディスタンシングはやめ、自発的なソーシャル・ディスタンシングを勧告することにした。「科学防疫」を前面に掲げた尹錫悦(ユン・ソクヨル)政府の初の新型コロナ流行の対応策だが、前の政府と差別化される根拠データがないばかりか、4回目接種もソーシャル・ディスタンシングもすべて個人に任せる「自主防疫」では流行の拡散を抑制できないと専門家たちは懸念している。

 中央災害安全本部は13日、接種対象の拡大などを含む「新型コロナ再流行に備えた防疫・医療対応策」を発表した。これまで4回目のワクチン接種対象者は、60才歳以上または免疫低下者▽療養病院・施設・精神健康増進施設の入所者だったが、今後は50歳以上▽基礎疾患を持つ18歳以上▽障害者・ホームレス施設など感染脆弱施設の入所者が含まれた。これにより4回目の接種対象者は857万人(50代)以上増える見込みだ。疾病管理庁のペク・キョンラン庁長はこの日ブリーフィングで「50代と成人基礎疾患者はハイリスク群」として「米国もまた医学的合併症の比率などを考慮して50代以上への接種を許容している」と説明した。拡大対象者は18日から接種できる。満61歳である尹錫悦大統領はこの日、ソウルの中区保健所で4回目の接種を受けた後、「国民の皆さんも積極的に受けて下さるよう呼びかける」と述べた。

 ただし、政府は4回目接種率を引き上げる具体的対策は示せなかった。満60歳以上の4回目接種が始まってからすでに3カ月が過ぎたが、7日0時現在で4回目接種率は80歳以上55.2%、70代45.6%、60代は23.6%に過ぎない。それでも防疫当局は「接種督励」に注力する方針だ。現在は60歳以上に4回目接種を「許容」し、80歳以上には「勧告」しているが、今後は対象者全員に対して接種が「勧告」される。防疫当局は接種督励の根拠に「ハイリスク群を対象に研究した結果、4回目接種の重症予防効果は3回目接種に比べ50.6%、死亡の予防効果は53.8%高くなる」と説明したが、先月16日に発表した内容の提示に終わった。4回目の接種など再流行に備えた科学的防疫政策を樹立するには、ワクチン接種と自然感染を通じて形成された免疫水準から把握しなければならない。だが、全国民の抗体陽性率の調査は8月に始め、早くても流行のピーク時期と予想される9月初めに結果が出る。

 この日0時現在、一日の新規感染者は4万266人で、63日ぶりに4万人台に進入した中、防疫当局は8~10月に20万人まで感染者が出る可能性があるとみている。このため病床など医療態勢を準備する方針だとしながらも、集まりの人数や時間を制限する「全国民ソーシャル・ディスタンシング」は導入しない意向を明らかにした。防疫には効果的だが、国民の疲労感が大きく自営業者の被害など社会・経済的限界があるという理由からだ。代わりに個人と地域社会の自発的なソーシャル・ディスタンシングを勧告し、致命率が増加するなど重大要因がある時に感染脆弱階層中心に選別的・部分的なソーシャル・ディスタンシングを検討するという但し書きを付けたが、その根拠を提示することはなかった。

 翰林大学江南聖心病院のイ・ジェガプ教授(感染内科)は「政府が4回目接種とソーシャル・ディスタンシングなどに言及して提示した根拠は、以前の政府と差別化されていない」として「科学防疫を強調したことがかえって失策になった」と話した。延世大学セブランス病院のイ・ヒョンミン教授(感染内科)は「多くの専門家が過去3年間、韓国はまだ(傷病手当て未導入など)『具合が悪い時に休める』構造ではないため、自主防疫は難しいと述べてきた」とし、今回の対策の効用性に疑問を提起した。

パク・ジュニョン記者、チャン・ヒョヌン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1050804.html韓国語原文入力:2022-07-13 18:35
訳J.S

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