韓国国内で初めて発生したサル痘の感染者と疑い患者は、いずれも関連症状があったにもかかわらず、空港検疫台を無事通過し、以後防疫当局に症状を自ら申告したことが確認された。症状がある人が自ら申告しない限り、事実上検疫段階ではサル痘の発見が難しい「防疫の穴」が確認されたわけだ。
22日、疾病管理庁(疾病庁)の説明によると、前日ドイツから入国した韓国人のA氏は検疫過程で関連症状を申告せず、空港検疫台を通過した。その後、空港内で疾病管理庁1339に感染の疑いがあることを申告し、空港隔離施設に留まって病院に引き渡された。入国時から37度の微熱と喉の痛み、皮膚病変などの症状があったが、空港検疫台を通過したのだ。
にもかかわらず、防疫当局は同日、最終的に感染が確定したAさんが空港検疫台を通過する前に防疫当局に申告を完了したとブリーフィングし、「注意すべき接触者がいない」という事実だけを強調した。ところが、記者団の質問が続くと、疾病管理庁は午後9時頃になって「空港検疫台を通過した後、1339に申告した」とし、前言を翻した。同日午前の「この方(感染者)が韓国に入国した後、空港検疫台からの申告を通じて安全に検疫官と病院に引き渡され、特に注意すべき他の接触者はいないことが確認された」という中央防疫対策本部(防対本)のブリーフィングは事実ではなかった。
A氏と共にサル痘の疑い患者に分類された外国人のB氏は、最終的には水痘であることが判明したが、サル痘と疑われる症状があったにもかかわらず、仁川空港を出て釜山(プサン)まで移動した。B氏は20日、国内入国当時の健康状態質問書に「症状なし」と表記したが、隔離後の疫学調査段階では19日から喉の痛み、リンパ節病症などの全身症状と水疱性皮膚病変症状があったことを明らかにしたという。防疫当局が入国者に対する発熱検査を行っているが、この外国人は検査基準以上発熱がなく、仁川空港を抜け釜山まで移動することができた。
防疫には不備があったが、幸いにも隔離が必要な「高危険接触者」は確認されなかった。防疫当局は、これまで確認されたA氏との機内接触者49人のうち、前後、左右、斜め座席に座っていた乗客8人は、直接接触の可能性を念頭に置いて中危険に管理することにした。残りの乗客41人は低危険接触者に分類した。
地方自治体向けのサル痘対応指針によると、接触者は危険度に応じて低危険・中危険・高危険の3段階に分類される。高危険群は、感染者と直接接触したり、高危険環境にさらされた肌または性的接触者▽中危険群は、適切な保護具を着用せず、感染者の飛沫にさらされたり、飛行機で感染者と1メートル以内の距離に座っていた乗客▽低危険群は、保護具を着用した状態で身体や飛沫などの軽い接触をした場合がそれぞれ該当する。危険度と関係なく、接触者は全員潜伏期21日間のモニタリングを経て、この期間に高危険群だけが隔離措置される。高・中危険群は潜伏期間中に一日2回発熱などの疑い症状の有無を電話や携帯メールで確認する能動監視が、低危険群には疑い症状が発生した場合、管轄保健所に連絡する受動監視がそれぞれ適用される。
一方、防疫当局はショートメールと検疫情報事前入力システムなどによって案内を強化し、自主申告率を高めることにした。防対本のイム・スギョン状況総括団長は「健康状態質問書を虚偽申告した場合、検疫法により1年以下の懲役または1000万ウォン(約105万円)以下の罰金に処しうる」と述べた。サル痘の国外からの流入を防ぐため、監視水準も高めることにした。サル痘が持続的に発生した27カ国を「下半期検疫管理地域」に指定し、英国、スペイン、ドイツ、フランス、米国、カナダなどサル痘が頻発する国を対象に発熱基準を37.5度から37.3度に下げて強化する予定だ。防疫当局はサル痘の発生国を訪問または旅行する国民に、帰国後21日以内に症状が発生した場合、疾病庁コールセンター(1339)に相談するよう呼び掛けている。