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北朝鮮、初めて「ICBM+短距離ミサイル」同時発射…韓米もミサイル発射で対抗

登録:2022-05-26 06:20 修正:2022-05-26 08:44
韓米ミサイル防御では迎撃困難
韓国空軍が今月24日、北朝鮮のミサイル発射に対抗し、戦闘機F15K約30機がエレファントワーク訓練を行ったと発表した。同訓練は数十機の戦闘機が機体に最大武装を搭載した状態で密集隊形を組み、離陸直前まで滑走路を走る威力示威=合同参謀本部提供//ハンギョレ新聞社

 ジョー・バイデン米大統領の韓国、日本歴訪が終わった翌日の25日、北朝鮮がICBM(大陸間弾道ミサイル)を含む弾道ミサイル3発を発射した。韓米はミサイル発射などで対抗した。

 合同参謀本部は25日、「同日午前6時、6時37分、6時42分頃、北朝鮮平壌順安(スナン)一帯から東海に向かって弾道ミサイル計3発を発射したことを把握した」と発表した。さらに「午前6時頃に発射した最初のミサイルはICBMと推定される」と明らかにした。北朝鮮は今年、今回を含めて6回のICBM発射実験を行った。

 韓国軍当局はICBM(推定)の飛行距離は約360キロメートル、高度は約540キロメートルと発表した。2番目のミサイルは高度約20キロメートルで消失し、3番目のミサイル(短距離弾道ミサイルと推定)の飛行距離は約760キロメートル、高度は約60キロメートルとみられる。高度約20キロメートルで消えた2番目のミサイルは、発射に失敗した可能性があるという。合同参謀本部はミサイル詳細について、韓米情報当局が精密分析を行っていると伝えた。

 北朝鮮が同日発射したICBMは、新型の火星17型の可能性があるという。北朝鮮は今年2月27日と3月5日、偵察衛星の開発実験が目的だとして、火星17型を発射した。火星17型は2020年10月10日、北朝鮮労働党創建75周年記念軍事パレードで初めて公開された。

 他の弾道ミサイル2発は、北朝鮮版イスカンデル(KN23)と呼ばれる短距離弾道ミサイルの可能性があるという。同ミサイルは標的に向かって落ちる終末段階で上下に動く特性(プルアップ起動)のため、ミサイル防御網で迎撃することは難しい。

 北朝鮮が米国を狙ったICBMと韓国などを狙った短距離弾道ミサイルなどを(時間差を置いてほぼ)「同時に」発射したのは初めて。ICBMと短距離ミサイル(KN23)を同時に発射すると、韓米ミサイル防御網では迎撃が難しい。韓米軍当局は有事の際、すべての北朝鮮のミサイルを迎撃できないため、ICBMのように軍事的脅威が大きな目標を打撃・迎撃することに集中する。しかし、北朝鮮が2種類のミサイルを一緒に発射すれば、ICBMを見分けるのは容易ではない。

北朝鮮が朝鮮人民革命軍創建90周年の4月25日夕方、平壌の金日成広場で開いた軍事パレードに登場した大陸間弾道ミサイル「火星17型」/聯合ニュース

 北朝鮮のミサイル発射後、韓米当局は対応に乗り出した。

 合同参謀本部は「昨日(24日)、北朝鮮ミサイル挑発の兆候を捉え、エレファントワークを行い、同日(25日)韓米連合地対地ミサイル射撃を実施した」と発表した。同日午前、韓国と米国は、韓国軍の玄武(ヒョンム)2地対地ミサイルと米軍の陸軍戦術短距離対地ミサイル(ATACMS)をそれぞれ1発ずつ東海上に発射した。玄武2ミサイルは有事の際、北朝鮮の主要施設を破壊できる。軍当局が射程300キロメートルの玄武2を動員したのは、東海岸ミサイル射撃場から北朝鮮がミサイルを発射した順安までの距離(250キロ)を考慮したものとみられる。

 今年3月24日の北朝鮮のICBM発射後、韓国軍は東海上で玄武2を含む地・海・空ミサイルを発射した。今年3月の対抗ミサイルの発射は、韓国軍の単独作戦だった。韓国軍と米軍の合同ミサイル発射は、2017年7月以降4年10カ月ぶり。

 空軍は24日、戦闘機F15K約30機がエレファントワーク(Elephant Walk)訓練を行ったと発表した。エレファントワーク訓練は、戦闘機数十機が最大武装の状態で密集隊形を組み、離陸直前まで滑走路を走る威力示威を指す。

 合同参謀本部は「今回わが軍の武力示威は、北朝鮮のICBM発射などいかなる挑発にも断固として対応するという意志と、圧倒的な戦力で挑発原点を精密打撃できる能力と態勢を備えていることを示した」と述べた。同本部によると、ウォン・インチョル合同参謀議長は北朝鮮の弾道ミサイル発射直後、ポール・ラカメラ韓米連合司令官とオンライン会議を開き、状況を緊密に共有する一方、韓米合同防衛態勢をさらに堅固にすることを再確認した。

クォン・ヒョクチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1044308.html韓国語原文入力:2022-05-2516:43
訳H.J

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