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韓米日結集に朝中ロ反撃…東アジアが「巨大なチェス盤」に

登録:2022-05-26 03:03 修正:2022-05-26 08:31
中ロ、東海側KADIZに爆撃機 
北朝鮮はバイデン帰国中にICBMで挑発 
Quad、IPEFで米の包囲網に囲まれた中国 
王毅外相が南太平洋8カ国を歴訪 
米国は26日「新たな中国政策」発表
韓日歴訪を終えて帰国するやいなや内外の不幸に直面した米国のバイデン大統領が24日(現地時間)夕、ホワイトハウスで演説を行い、沈鬱な表情を浮かべている。米国では同日、テキサス州ユバルディのある小学校で発生した銃乱射事件で21人が死亡した。北朝鮮は25日朝、東海に大陸間弾道ミサイル(ICBM)を含む3発の弾道ミサイルを発射し、挑発を継続した。中ロも前日、東海側の韓国防空識別圏(KADIZ)に戦略爆撃機を飛ばし、米国に挑戦する姿勢を見せた=ワシントン/AP・聯合ニュース

 米国のジョー・バイデン大統領の韓日歴訪を契機として、米中戦略競争の主戦場であるインド太平洋地域が韓米日と朝中ロの対決する「巨大なチェス盤」となった。韓米日が中国を包囲し、ロシアを牽制し、北朝鮮の核・ミサイル開発に対抗する姿勢を示すと、朝中ロも遅滞なく「力」で対抗するという決意を示した。旧冷戦時代の陰鬱な陣営構図が蘇った格好だ。

 バイデン大統領が東京を離れた24日、中国外交部は王毅外相が26日から来月4日までの10日間、ソロモン諸島、キリバス、サモア、フィジー、トンガ、バヌアツ、パプアニューギニア、東ティモールの南太平洋8カ国を公式訪問することを明らかにした。王外相はフィジーで昨年10月に続き2回目の中国・太平洋島国外相会合を主宰する。中国外交部は今回の歴訪の意味について、「これらの国と友好・協力関係を発展させることは、双方の根本的かつ長期的な利益に合致し、アジア太平洋地域の平和、安定、繁栄の促進にも役立つ」と述べた。

 バイデン大統領は20~24日の韓日歴訪を通じて、経済と安保の両方で「唯一の競争者」である中国を圧迫する重層的な包囲網を張った。20日のサムスン電子の半導体工場への訪問を皮切りに、21日の韓米、23日の米日首脳会談を通じてインド太平洋地域の両同盟国との関係を強化し、23日には中国牽制のための経済協力の枠組みであるインド太平洋経済枠組み(IPEF)を発足させた。24日には日米印豪4カ国の安保協議体クアッド(Quad)の首脳会合も開催した。これに対し中国は、これ見よがしに米国の包囲網突破に向けて、「米国の前庭」と考えられてきた太平洋の島国との関係強化に乗り出したのだ。中国は先月中旬、ソロモン諸島と安保協力協定を結び、同地域に軍事的に進出する根拠を得ている。

 中国の対応はこれにとどまらない。中ロは、今回の歴訪で韓日に対する拡大抑止(核の傘)を強化するとの意思を明らかにした米国に対し、軍事的に挑戦するかのような姿勢も演出した。クアッド首脳会合が行われていた24日、中ロは独島の位置する東海(トンヘ)側の韓国防空識別圏(KADIZ)に計6機の爆撃機をねじ込んできた。ロシアが動員したツポレフ(Tu)-95と中国の轟(H)-6は、核を搭載できる戦略爆撃機だ。中国国防部とロシア国防省は「通常の訓練」だと述べたが、日本の岸信夫防衛相は同日夜7時25分に予定になかった記者会見を行い、「クアッドが行われている中での共同行動であるということから、示威行動の意図は間違いない」と述べた。

 北朝鮮は翌日、個別に存在感をあらわにした。バイデン大統領帰国翌日の25日朝、東海に大陸間弾道ミサイル(ICBM)を含む3発のミサイルを発射したのだ。ホワイトハウスと米国インド太平洋軍司令部は直ちに糾弾声明を発表し、韓国も国家安全保障会議(NSC)を招集して対応策を協議した。岸防衛相は朝7時45分から記者会見を行い、「敵基地攻撃能力も含めて、あらゆる選択肢を検討し、今後とも防衛力の抜本的な強化に取り組んで」いくと強く警告した。

共同飛行しているロシアのTu-95と中国のH-6戦略爆撃機。前にプロペラが付いている機体がTu-95=日本防衛省提供//ハンギョレ新聞

 問題は、このような陣営同士の「対決構図」が今後も加速せざるを得ないということだ。現在の危機の深刻さを最も明確に示すのが、北朝鮮核問題に対する中ロの非協力だ。朝米の首脳が暴言を浴びせ合った2017年の「危機局面」では、北朝鮮核問題の解決のためには米国と中ロが協力しなければならないというコンセンサスがあった。しかし、米中戦略競争が激化するとともに、ウクライナ戦争まで勃発したことで、中ロは今年に入って17回行われている北朝鮮の挑発に依然として沈黙している。そうなればなるほど、文在寅(ムン・ジェイン)政権の「均衡外交」を批判してきた尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は親米路線を強化し、日本は再武装のスピードを上げざるを得ない。ロシアと中国も、民主主義と権威主義の対決構図を大儀名分として自国を押さえつけようとする米国に対する強硬姿勢を解くことができない。

 短期的に注目を集めるのは、26日に米国のアントニー・ブリンケン国務長官が公開する米国の新たな中国政策だ。バイデン大統領の23日の台湾防衛発言で波紋が広がった米国の「戦略的曖昧さ原則」に関して、どのような表現がなされるかに関心が集まっている。

北京、東京、ワシントン/チェ・ヒョンジュン、キム・ソヨン、イ・ボニョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1044404.html韓国語原文入力:2022-05-25 19:09
訳D.K

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