ジョー・バイデン米大統領の韓国訪問(20~22日)を機に進められてきた文在寅(ムン・ジェイン)前大統領との面会が最終的に実現しないことになった。
文前大統領側の関係者は19日、「先ほど在韓米国大使館から『(バイデン大統領が文前大統領と)面会しない方針を最終決定した』という連絡を受けた」と述べた。同関係者は「文前大統領と『個人的に、非公式で会いたい』というバイデン大統領の希望に沿った米国側の提案を受け、最近まで二人の面会を調整してきた」とし、このように述べた。
これに先立ち、ジェイク・サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は18日(現地時間)、バイデン大統領の韓日歴訪に関する会見で、「バイデン大統領が文前大統領にソウルで会うという報道」に関する質問に対し、「現時点(at this time)では文前大統領に会う計画はない」と答えた。
文前大統領とバイデン大統領の「非公式の個人的な面会」は、当初、韓国大統領選挙(3月9日)直後にホワイトハウス側の提案で韓米間の協議が非公開で進められてきた。
バイデン大統領が韓国に来るついでに「文大統領に会って個人的に感謝の気持ちを伝えたい」として、「非公式で個人的な面会」を希望したことによるものだ。米国の現職大統領が首脳会談のために訪韓し、韓国の前大統領に会った前例がなかったことから、文前大統領とバイデン大統領の面会が実現するかどうかに注目が集まった。
事情に詳しい複数の外交筋は、バイデン大統領が尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と韓米首脳会談の公式日程を終え、訪韓最終日の22日、ソウルで文前大統領に会う方向で協議を行ってきたと話した。当初、ホワイトハウス側が調整してきたバイデン大統領の2泊3日の訪韓日程表にも、文前大統領との面会日程が暫定的に決まっていたという。
しかしホワイトハウス側は、文前大統領とバイデン大統領の面会場所と時間に関する最終通知を先送りしてきたという。その中でサリバン補佐官が韓日歴訪に関する会見で「現時点で会う計画はない」と明らかにし、同日午後、文前大統領側に「面会はしない方針を最終決定した」と通知したということだ。
そもそも自ら面会を希望し提案した米国側が、文前大統領に対する「欠礼」の負担にもかかわらず「面会取り消し」の決定を下した背景には、様々な事情があったようだ。
文前大統領がバイデン大統領との面会を進めてきたことがメディアに報道された後、文前大統領が米国と北朝鮮の間で架け橋の役割を果たせるというバイデン大統領の期待があるようだとのチョン・セヒョン元統一部長官の分析を含む韓国社会の高い関心と、二人の面会に対する尹錫悦政権の否定的な認識などが負担となったものとみられる。大統領室関係者は「文前大統領とバイデン大統領のことに大統領室が介入する必要も名分もない」とし、一線を引いた。