韓国政府が来週から私的な集まりの人数と営業時間制限を全面解除するなど、2年以上維持されてきた「社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)」を事実上終了するとみられる中、屋外マスクの着用は当分維持する方針だという。
政府は15日午前、中央災害安全対策本部(中対本)会議を経て、18日から適用する「社会的距離措置の調整案」などを発表する。14日の本紙の取材によると、日常回復支援委員会の書面会議などでは防疫規則のうち私的な集まりの人数や飲食店・カフェなど一部の大衆利用施設の営業時間制限をなくす案が検討されたという。17日まで適用される現行の距離措置は、私的な集まりは10人まで、営業時間は夜12時までだ。政府は今月1日、「2週間の流行が確実に減少傾向に転じており、重症患者と医療システムが安定した水準を見せた場合、室内マスク着用など主要規則を除き、営業時間や私的な集まり、大規模なイベントなど、あらゆる措置の解除を検討する計画だ」と明らかにしている。
政府は新型コロナウイルス感染症の感染拡大を予防するため、2020年3月から社会的距離措置体制を始めた。初期は感染の危険性の高い宗教施設や一部業種などの運営を制限していたが、同年12月23日、首都圏で「5人以上の私的な集まり禁止」を開始し、2021年1月初めに全国に拡大した。同年8月30日からはカフェや飲食店どの売り場の営業時間を夜9時に制限した。政府は昨年11月、「段階的な日常回復」案を通じて営業時間や大規模イベント、私的な集まりの順に制限を解除する計画だったが、感染拡大により約1カ月で「(解除の)暫定中止」を宣言した。
政府は屋外マスクの着用義務も解除する案を有力に検討したが、今回は維持する方向で意見がまとまった。中央防疫対策本部が定めた現行の「マスク着用防疫指針順守命令及び過料賦課業務手引書」によると、屋外では他の人と2メートル以上距離維持ができない場合や集会・公演・イベントのように多数が集まる場合のみマスク着用が義務付けられている。政府関係者は14日、本紙の取材に対し、「距離措置を全面解除した上、マスクまで一気に防疫を緩和するのは負担が大きくなる」とし、「マスクは国民生活に直接及ぼす影響も比較的小さく、次回に決定を見送ったようだ」と説明した。
飲食店・カフェ、結婚式・1歳の誕生日・葬儀、国際会議、学術行事などに制限されている室内大衆利用施設の飲食を認めるかどうかについては意見が分かれたが、大筋認める方向で決まった。ただし、時期などについては実務的な検討を経て、15日午前に発表する予定だ。政権引き継ぎ委員会のアン・チョルス委員長は、プロ野球競技場の中で唯一室内ドーム球場であるため飲食が禁止された高尺(コチョク)スカイドームについて、改善の検討を要請した。政府も関連防疫規則について検討しているが、コーラテックやナイトクラブ、カラオケボックス、銭湯、室内体育施設、宗教施設など、ほかの室内大衆利用施設との公平性などが争点となっている。
距離措置の緩和とともに、政府が確保した病床も次第に減るものとみられる。先月11日までも2万を超えていた軽症患者のための生活治療センターの病床は、14日午前0時基準で1万6610床まで減った。さらに保健福祉部中央事故収拾本部は、新規感染者の急増を受け、新型コロナ専門病床の確保のため、昨年11月18日に施行した病床間の離隔距離の一時緩和措置を17日に終了することにした。これを受け、18日からは分娩特化拠点専門病院を除く新型コロナ重症病床、準重症病床、中等症病床の場合、重患者室は2メートル以上、その他の入院室は1.5メートル以上病床の間に距離を置かなければならない。離隔距離が再び適用されれば、同一の空間内に置ける病床数も減少する。