政府が4日から2週間の「私的な会合10人まで、営業時間午前0時まで」を内容とする社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)を実施した後に、事実上日常回復に転換するとの意志を明らかにしたことで、新型コロナウイルス感染症を風土病として管理する「エンデミック時代」に対する期待が高まっている。専門家は、安易に「防疫緩和」に言及する前に、コロナ患者に対する対面診療の拡大や感染症等級の下方修正などの日常医療システムへの転換にまず重点を置くべきだと提言する。
キム・ブギョム首相は1日、中央災害安全対策本部(中対本)の会議で、「今後2週間、重症と死者を減らしてゆきつつ、医療システムが安定的に管理できれば、残っているソーシャル・ディスタンシングなどの防疫措置を果敢に改編する」とし、「大半のコロナ患者が町内の病院や医院で不便なく対面診療を受けられる段階になれば、先日ある外国メディアが展望したように、韓国は『エンデミック』へと転換する世界初の国となりうると期待している」と述べている。
キム首相が言及した「防疫措置の果敢な改編」は営業時間と人員の制限、300人以上の行事や集会の禁止などがすべて解除されることを意味する。事実上、ソーシャル・ディスタンシングが解除されるわけだ。キム首相は、屋内でのマスク着用は「防疫最後の砦」として維持するが、屋外でのマスク着用はこの2週間の状況を見て解除するかどうかを検討するとし、可能性を残した。
政府の日常回復への期待とは裏腹に、専門家は重症患者や死者が減っていない現状にあっては、ソーシャル・ディスタンシング解除を示唆する発言は適切ではないと口をそろえる。カトリック大学医学部のペク・スニョン名誉教授(微生物学)は「3月だけで8700人が死亡しており、今後4~5月に1万人近く死者が出たら、累積致命率どうこうではなく、それは被害が大きかったことの傍証となる」とし「療養病院・施設でまともに治療も受けられずに死亡した人、コロナで基礎疾患が悪化して死亡し『コロナ死亡』統計で把握できない人も合わせると、『エンデミック』を自慢げに話すのではなく、こうした被害に対して申し訳ないと言うことこそ正しい」と述べた。ソウル大学医学部のキム・ユン教授(医療管理学)も「状況によってはどんな変異株が登場するか不確実な状況においては、『最後のソーシャル・ディスタンシング』を示唆する発言は適切ではないと思う」とし「外国の専門家が言って外国メディアが書き取った話をたいそうな根拠であるかのように語るのは軽薄に見える」と指摘した。
3日0時現在で、一日のコロナ新規感染は23万4301人発生し、今月1日(28万273人)以降3日連続で20万人台と下降曲線を描いているが、重症患者と死者は増加傾向にある。この日の重症患者数は1299人で、最も多かった前日の1315人よりは減ったものの、1週間平均の1日当たりの重症患者数は1255人で、前週より174人多い。この日の死者数は306人で、先月28日からの1週間平均で一日当たり338人が死亡したと集計された。3月の1カ月間のコロナによる累計死者数は8172人で、2月28日までの累計死者数8058人より多い。
専門家は、重症患者と死者を減らすための方法として、積極的な高危険群の管理をあげた。ペク教授は「基礎疾患のある療養施設の感染者は軽症でも病院に移送して入院治療を施すという、政府の『療養病院・施設管理強化対策』が出るのが遅すぎた」とし「感染症専門の療養病院が少ないため、今からでも『拠点療養病院』を作って政府が積極的に人材とシステムの支援をすべきだ」と述べた。この日現在で、感染症専門の療養病院は全国に41カ所ある。嘉泉大学吉病院のオム・ジュンシク教授(感染内科)は「コロナが直接要因であれ間接要因であれ、療養病院で死者が出続けているということは、療養病院での感染症対応は難しいということを意味する」とし「これまで政府が、療養病院が新たな感染症に対応できるよう人材やシステムの支援を行ってこなかったため」と説明した。
日常医療システムへの転換に向けて、中長期的な計画を早急に立てるべきだとの意見もあがっている。政府は、コロナ患者もインフルエンザ患者のように町内の病院や医院で診療を受けられるように、医療システムを「日常システム」へと転換しつつあるが、3日に健康保険審査評価院のウェブサイトを確認すると、今月1日現在で576カ所ある在宅治療外来診療センター中、先月30日(外来診療センター指定を申請)以降に運営を始めたのは280カ所に過ぎない。キム教授は「迅速抗原検査を行う医療機関が1万カ所ほどあるのと比べると、病院は対面診療に消極的すぎる」とし「すでに迅速抗原検査を受けに来たオミクロン感染者と感染者でない人が混じって病院で待機している状況であり、動線を分離して管理すること自体が皮肉なこと」と説明した。そしてキム教授は「この2年あまり、金と医療陣を犠牲にする形でその場しのぎの対応をしてきたため、感染症対応システムが事実上なく、死角地帯の発生と混乱が繰り返されてきた」とし「『今回が最後だ』、『今回さえ持ちこたえれば済む』という発想から脱して、既存の防疫を客観的に評価し、これまでのミスを繰り返さないようにシステムを整備し、正確な方向性を提示すべきだ」と述べた。
専門家は、現在は1等級の新型コロナウイルス感染症を2等級以下へと下方修正する議論も、これ以上先送りしてはならないと強調する。感染症予防法により、1級感染症は流行と同時に届け出なければならず、陰圧隔離のような高いレベルの隔離が必要なため、対面診療の拡大など政府の日常医療システムへの再編の方向性と合わないと指摘されている。オム教授は「感染症等級を調整することになれば、医療機関が新指針をどのように適用するのか、治療費はどこまで政府が補助するのかなど、現在のコロナ管理指針をすべて変えなければならないため大変だが、疾病管理庁と保健福祉部の立場が異なるため、まだ議論ばかりしている」と述べた。キム教授は「感染症の感染力や致命率から見て2級に引き下げるが、感染拡散の危険性が高いため治療費や隔離費用は負担すると政府が言えば済むものを、責任を押し付け合っているため、感染症等級調整をめぐるごたごたが1カ月以上続いている」と指摘した。