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ゼレンスキー、韓国国会演説で「ロシアのミサイルに抗う兵器、韓国にある…支援を」

登録:2022-04-12 06:16 修正:2022-04-12 07:18
「ロシアの戦車やミサイルに対抗する軍事装備が必要」 
韓国、非殺傷物資の支援が原則…前回の要請も断る 
血まみれの遺体抱いて絶叫するマリウポリの映像を公開
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が今月11日午後、韓国国会に対するオンライン演説で、対戦車・対空兵器などの支援を韓国に要請した=「国会放送」より//ハンギョレ新聞社

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が11日、韓国国会での演説で、ロシアの戦車や軍艦、ミサイルを阻止できる軍事装備の支援を要請した。

 ゼレンスキー大統領は同日午後、オンライン演説で「ロシアの戦車や戦艦、ミサイルに対抗し、ウクライナ国民を助ける軍事装備が大韓民国にある。ロシアに対抗できるよう助けてほしい」と述べ、兵器支援を要請した。対空・対戦車・対艦兵器などを具体的に要求したわけだ。米国など北大西洋条約機構(NATO)はロシアの侵攻後、ウクライナに携帯型対戦車・地対空ミサイルを数千発以上提供し、ウクライナはこの兵器でロシアの戦車やヘリコプター、戦闘機に対抗している。

 ゼレンスキー大統領は、「このような兵器を(韓国から)支援してもらえれば、一般国民の命を助けることができるだけでなく、ウクライナを助ける機会になり、他の国々もロシアから攻撃を受けない可能性がある」とし、「韓国が我々を助けてほしい」と要請した。

 ゼレンスキー大統領は約17分間にわたる演説で、自国に侵攻したロシアの残忍さや戦争の惨状を伝え、韓国をはじめ国際社会に支援を訴えた。彼が演説の終盤に公開したウクライナ南部の港町マリウポリの映像は場内をさらに粛然とさせた。映像に登場したマリウポリ市内は、ロシア軍の攻撃で灰と化していた。ウクライナ国民が血まみれの遺体を抱いて絶叫する場面もあった。ゼレンスキー大統領は「マリウポリで1週間以上滞在した記者が撮影した映像だ」としたうえで、「ウクライナの人々はこのような場面を48日間毎日目撃している。ウクライナだけでなく、他の国々もこのような戦争を経験せず、ロシアの攻撃を受けないためと思って、映像を見ていただけるとありがたい」と述べた。ゼレンスキー大統領は映像上映後、「これがまさにロシアがやったことです。我々を助け、支援してくださるよう皆さんにお願いします。ありがとうございました」という言葉でオンライン演説を締めくくった。この部分では、内容を伝える通訳も涙ぐんだ。

 ゼレンスキー大統領は演説で、朝鮮戦争を取り上げた。ゼレンスキー大統領はこれまで、英国やイタリア、米国、ドイツなどを対象に行った演説で、各国の歴史的背景を適切に取り上げる「オーダーメイド型演説」で注目を集めてきた。彼は同日の演説で、「我々は20世紀にこのような破壊を多く目にしてきた。大韓民国国民の皆さんは1950年代に一度戦争を経験し、多くの民間人が命を失った」とし、「しかし、韓国は乗り越えた。当時は国際社会が多くの支援を行った」と述べた。「我々がロシアとの戦争で生き残り、勝つためにはさらに多くの助けが必要だ」とし、ロシアに対抗できるよう兵器支援を重ねて要請した。

 これまでウクライナは韓国に各種の兵器支援を要請してきたが、国防部は「ウクライナへの殺傷兵器支援に関しては、制限される側面がある」という考えを繰り返し表明してきた。国防部は先月、ウクライナに防弾ヘルメットやテント、毛布、個人用応急処置キット、医薬品など非殺傷用軍需物資など約20種の物品(10億ウォン分)を支援した。

 ウクライナは先月初め、韓国を含む外国に軍事支援及び人道支援を要請する公文書を送っており、当時も小銃や対戦車ミサイルなどの殺傷兵器が支援要請品目に含まれていたという。最近、韓国とウクライナ国防相による電話会談で、ウクライナがヘリや飛行機を撃墜する対空兵器システムの支援を要請したが、韓国は「破壊兵器の支援はできない」という方針を繰り返し説明し、断った。

 国防部のプ・スンチャン報道官は同日午前、定例会見で、「8日の韓-ウクライナ国防相による電話会談で、ウクライナから兵器に関する追加支援要請があった。ウクライナ国防相から対空兵器システムなどを支援できるかどうかについて問い合わせがあった」と述べた。プ報道官はさらに、「ソ・ウク国防長官は、韓国の安保状況と軍の軍事態勢の影響などを考慮し、ウクライナに対する殺傷用兵器システムの支援は制限されるという立場を説明した」と伝えた。

 当時の会談で、ウクライナのオレクシー・レズニコフ国防相は、対空兵器システムを特定して要求したわけではなかったという。韓国軍の対空兵器システムには天弓(中距離地対空ミサイル)やパトリオット、天馬(短距離地対空ミサイル)、ホーク(短距離地対空ミサイル)、神弓(携帯用地対空ミサイル)などがある。神弓を除いては兵器の規模が大きく、ウクライナに運搬することが困難だ。現実的にウクライナに支援可能な対空兵器としては、携帯用地対空ミサイルである神弓が挙げられる。

神弓は空中に侵入する敵航空機および小型ヘリに対する主要部隊と軍事施設対空防御任務を遂行する携帯型地対空ミサイルだ=LIGネックスワンのホームページより//ハンギョレ新聞社

 韓国はレッドアイやジャブリン、ミストラル、イグラーなど様々な外国産対空ミサイルを使用してきたが、国内の独自技術で「神弓」を開発し、2006年から戦力化した。長さ1.6メートル、重さ15キログラムの神弓は、小型で軽量であるため、兵士2人が持ち歩きながら使用できる。神弓は有効射程距離5キロメートルで、低高度で侵入するヘリや航空機の撃墜に主に使われる。

 一方、キム・ジョンデ前議員は9日、自身のフェイスブックに「ウクライナ国防相との電話会談前に、米国大使館から同様の要請が韓国政府に何度も伝えられたことが確認された」と主張した。

クォン・ヒョクチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1038457.html韓国語原文入力:2022-04-12 01:25
訳H.J

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