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韓国、ウクライナの対空ミサイル援助要請を拒否

登録:2022-04-12 03:15 修正:2022-04-12 07:27
両国国防相の電話会談で要請 
ソ・ウク国防部長官「朝鮮半島の安保状況」をあげ難色示す
新弓は空から侵入してくる敵の航空機および小型ヘリから主要部隊と軍事施設を守る携帯用地対空ミサイルだ=LIGネクスワンのウェブサイトより//ハンギョレ新聞社

 ロシアと戦争中のウクライナが、ヘリコプターや飛行機を撃墜するための対空兵器システムの援助を韓国に要請したが、韓国政府は「殺傷兵器援助不可」の方針を重ねて表明し、拒否した。

 国防部のプ・スンチャン報道官は、11日午前の定例ブリーフィングでこれについて問われ、「今月8日の韓国とウクライナの国防相の電話会談で、ウクライナから兵器に関する追加支援要請があった。ウクライナ国防相は、対空兵器システムなどを援助するのは可能かについて問い合わせてきた」と述べた。プ報道官は、「ソ・ウク国防長官は、韓国の安保状況や軍の軍事準備態勢への影響などを考慮し、ウクライナに対する殺傷用兵器システムの援助は制限されるとの立場を説明した」と述べた。通常、国防部は「困難、または不可能だ」という意味で「制限される」という婉曲表現を使う。8日の両国の国防相の電話会談は、ウクライナの要請で実現した。

 ウクライナのオレクシー・レズニコフ国防相は8日のソ・ウク長官との電話会談で、対空兵器システムの援助を要請した際に、具体的な兵器システムについては言及しなかったという。韓国軍の対空兵器システムには天弓(中距離地対空ミサイル)、パトリオット、天馬(短距離地対空ミサイル)、ホーク(短距離地対空ミサイル)、新弓(携帯用地対空ミサイル)などがある。新弓を除くとサイズが大きいため、ウクライナへの運搬には困難が伴う。現実的にウクライナに援助可能な対空兵器としては、携帯用地対空ミサイルである新弓があげられる。

 韓国はレッドアイ、ジャベリン、ミストラル、イグラなどの様々な外国製の対空ミサイルを使用していたが、韓国独自の技術で「新弓」を開発し、2006年から戦力化した。全長1.6メートル、重量15キロの新弓は小さく軽いため、2人の兵士が持ち歩いて使用できる。新弓は有効射程距離が5キロで、主に低空で侵入してくるヘリ、航空機の撃墜に使われる。米国などの北大西洋条約機構(NATO)はロシアによる侵攻後、ウクライナに携帯用対戦車・地対空誘導兵器を数千基以上提供しており、ウクライナはこの兵器でロシアの戦車、ヘリコプター、戦闘機を阻止している。

 電話会談でソ長官は、非殺傷用軍需物資の援助に努めていることを説明する一方、レズニコフ国防相は韓国の人道援助などに謝意を示しつつ、必要な援助の継続を求めた。ウクライナは先月初めにも、韓国を含む外国に対して軍事的・人道的援助を要請する公文書を送っており、その際にも小銃や対戦車ミサイルなどの殺傷兵器が援助要請品目に含まれていたことが知られる。

 このかん国防部は「ウクライナへの殺傷兵器の援助に関しては、制限される側面がある」との立場を複数回にわたり明らかにしている。そのため国防部は先月、ウクライナに防弾ヘルメット、テント、毛布などの軍需物資と、個人用救急キット、医薬品などの非殺傷用軍需物資20種あまり、10億ウォン(約1億200万円)分を援助している。

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は11日午後5時に韓国国会でオンライン演説を行うが、追加の兵器支援を公式に要請するかが注目される。一方、正義党の前国会議員のキム・ジョンデ氏は9日、自身のフェイスブックに「ウクライナ国防相から電話が来る前に、米国大使館から同様の要請が韓国政府に何度も伝えられたことが確認されている」とし、米国もウクライナへの対空兵器システムの援助を韓国に要請したと主張した。

クォン・ヒョクチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1038373.html韓国語原文入力:2022-04-11 13:40
訳D.K

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