英国のボリス・ジョンソン首相とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が9日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)で突如会談した。ロシアのウクライナ侵攻から6週が過ぎた中、ウクライナに対する西側の強力な支持を誇示する動きだ。
ジョンソン首相は公開の事前予告なしにキーウを訪れてゼレンスキー大統領と会談し、軍事的・経済的な追加支援を約束した。両首脳が会談したという事実は駐英ウクライナ大使館がツイッターに写真を掲載したことで初めて伝わり、続いて英国首相官邸が「首相はウクライナ国民との連帯を示すためウクライナを自ら訪問し、ゼレンスキー大統領と会談した」と発表した。
ジョンソン首相は会談後に声明を発表し、その中で「ゼレンスキー大統領の確固たる指導力と、誰もくじくことのできないウクライナ国民の英雄的行動と勇気」を称賛し、「ウクライナは困難を乗り越え、ロシア軍をキーウの入り口から追い出した」と述べた。ジョンソン首相はまた、ゼレンスキー大統領との共同記者会見で「ウクライナ国民はライオンの勇気を示したが、ゼレンスキー、あなたはそのライオンの咆哮を示した」と持ち上げた。ロシア軍は今月初め、ウクライナ北部のキーウ周辺地域から兵力を撤退させ、東部と南部に火力を集中している。
ジョンソン首相は声明で、「英国は、この戦いが続く中、長期的に変わることなくウクライナ側に立つということを明確にした」とし、「我々は(ウクライナに対する)軍事的・経済的支援を強化し、この悲劇を終わらせるために世界の同盟を結集させつつある」と述べた。
英首相官邸は、ジョンソン首相がゼレンスキー大統領に120台の装甲車や新たな対艦ミサイルなど、1億ポンド(約160億円)の追加的な軍事支援を約束したと明らかにした。英国はまた、世界銀行のウクライナに対する融資保証を5億ドル追加し、10億ドルとすることを決めた。
ジョンソン首相とゼレンスキー大統領は同日、共にキーウの中心地を歩き、市民と対話してもいる。
欧州諸国の中でもロシアに対するエネルギー依存度が低い英国のジョンソン首相は、ロシアのウクライナ侵攻を強く批判するとともに、ロシア産の石油の輸入を禁止するなど、ロシアに率先して圧力をかけてきた。同氏は今月8日のドイツのオラフ・ショルツ首相との会談でも、ウクライナ東部の都市クラマトルスクの鉄道駅に対するロシアのミサイル攻撃を「戦争犯罪」と述べて糾弾している。
ゼレンスキー大統領はジョンソン首相を「私の友人」と呼び、積極的に歓迎した。ゼレンスキー大統領は「ジョンソン首相はロシアの侵攻に対する最も原則ある反対者の一人であり、ロシアに制裁を加え、ウクライナ防衛に支援を行う指導者だ」とし「キーウへようこそ」と述べた。同氏はジョンソン大統領との共同記者会見で、他の国々も英国にならい「ロシアのエネルギー分野に対して完全禁輸措置を加えるとともに、ウクライナへの兵器提供を増やすべきだ」と訴えた。
オーストリアのカール・ネハンマー首相も9日、ロシア軍が民間人集団虐殺を行ったとの疑惑があるキーウ郊外の都市ブチャを訪問し、キーウでゼレンスキー大統領と会談した。