米国のジョー・バイデン大統領は10日、次期大統領に決まった尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏との初の電話会談で、気候変動、新型コロナウイルス、サプライチェーンなどの「世界の重要課題」について協力を期待することを明らかにし、新政権の韓米関係の構想がいっそう注目されることになった。単なる祝いのあいさつを越え、主要な国際懸案についての積極的な協力を強調したからだ。米国の朝鮮半島専門家らは、本紙の電話およびメールでのインタビューで、韓米が北朝鮮核問題だけでなく、他の多くの難題についても協力と調整を行う成熟した段階に入ったとし、次期政権の速やかな路線確立が必要だと主張した。
専門家らは、韓米間の最大の懸案である北朝鮮核問題について、尹氏が「同盟」を強調してきただけに、両国間に意見の相違は発生することはないが、問題解決は容易ではないだろうと見通した。元米国務省対北朝鮮交渉特使のジョセフ・デトラニ氏は、「北朝鮮が今年に入り11回のミサイル発射実験を行ったのに続き、核実験や長距離弾道ミサイルの発射実験を準備するとみられるため、両国が北朝鮮についての「一つの戦略」に合意することが2倍重要になった」と述べた。彼は、韓国の新政権は北朝鮮核問題について米国と緊密に協力するものとみられるとし、北朝鮮が核実験と大陸間弾道ミサイルの発射実験を再開した場合、韓米は合同軍事演習の再開で対応しなければならないと主張した。
米国外交協会のスコット・スナイダー韓国担当局長は「文在寅(ムン・ジェイン)大統領との最大の違いは、『抑制』(軍事力を強化し相手の挑発を制限すること)を強調する方向への転換」だと明らかにした。彼は、韓米は抑制を強化しながらも、北朝鮮が選択する場合に備え、対話の可能性は残しておくはずだと見通した。しかし、「韓米は北朝鮮と非核化についての対話の関係を樹立できず、彼らが軍事力を発展させるための実験を続けることを防げないということが最大の問題」だと述べた。
米国が中国に対する圧力を強化するために同盟国を動員することは、韓国の新政権にとって大きな課題になるという予測も出てきた。スナイダー局長は「韓国の新政権にとっての最大の課題は、中国に対する政策をどう導入し実行するか、(それに関して)米国との一致した路線をどう強化するかになるだろう」と述べた。 デトラニ元特使も「中国は韓国の主要な貿易相手であるため、明確に韓国は中国と良い関係を維持しなければならない」としながらも、「しかし、国家の安全保障問題では、韓米がそれぞれの利益のために緊密に協力しなければならないという点が重要だ」と述べた。
早ければ5月下旬に開かれるクアッド首脳会談への参加のために日本を訪問するバイデン大統領が、同月10日に就任する尹氏と首脳会談を行う可能性があるという見通しも出ている。一部の専門家は、韓米関係の総体的な青写真と主要な懸案についての立場を、5月前までに速やかに整理することが必要だと助言した。
シンクタンク「アトランティック・カウンシル」のオ・ミヨン・アジアプログラム局長は、「昨年5月の韓米首脳会談の共同声明を通じて、安全保障中心の同盟から包括的な同盟に向かうというコンセンサスが形成された」とし、「韓国の国際的地位が上昇した状況において、韓米関係をどう持っていくのかを序盤に提示することが重要だ」と述べた。また「ウクライナ戦争は、安全保障、経済、エネルギーなどの問題で過去とはまったく違う新しい危機を作りだした。さらに、北朝鮮核問題、サプライチェーン、中国とロシアの密着などの多くの問題のなかで、韓国の位置をうまく取らなければならない」と述べた。