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[社説]この渦中にミサイル発射した北朝鮮、緊張高め得るものは何か

登録:2022-02-28 08:03 修正:2022-02-28 09:30
北朝鮮のミサイル発射場面の資料写真=朝鮮中央通信/聯合ニュース

 ロシアのウクライナ侵攻で国際社会の衝撃と懸念が強まっているなか、北朝鮮が27日に弾道ミサイルを発射した。先月30日に中距離弾道ミサイル「火星-12型」を発射した28日後のことで、今年に入り8回目の武力誇示だ。韓米両国が北朝鮮の核とミサイルの開発について対話を通じた外交的な解決の意思を繰り返し明らかにしている状況で、北朝鮮がこのような武力誇示を再開したことは、緊張を高めるだけであり、問題解決にはまったく助けにならない。しかも、今は大統領選挙を控えた敏感な時期だという点で、安全保障への不安を刺激する軍事行動は自制すべきだ。

 合同参謀本部はこの日、「午前7時52分に平壌市順安(ピョンヤンシ・スナン)一帯から東海(トンヘ)上に発射された弾道ミサイル1発を確認した」と明らかにした。北朝鮮は先月30日の「火星-12型」発射以降、北京冬季五輪の期間中は中国を意識しミサイル発射を自制していたが、五輪が終わると、すぐにまた武力誇示に出たのだ。北朝鮮は先月5日に弾道ミサイルと推定される短距離飛翔体を発射したことを皮切りに、1月だけで7回もミサイルを発射し、緊張の度合いを高めてきた。そのなかには、北朝鮮が「極超音速ミサイル」だと主張した飛翔体も含まれている。先月20日には、核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験の再開の可能性をほのめかしたりもした。朝鮮半島の平和時計を2018年のシンガポール朝米首脳会談以前に戻しかねない危険なことだ。

 ロシアのウクライナ侵攻で国際秩序が揺れ動く状況において、北朝鮮が武力誇示を再開したのは、緊張を強め米国との交渉力を高めようとする意図だとみる分析が多い。中国とロシアと同時に対抗しなければならない負担となる状況に置かれた米国を圧迫し、制裁緩和などの譲歩を引きだそうとする計算が背景にあるということだ。そのような点で、北朝鮮が追加の軍事行動に乗りだす可能性もなくはない。そのような場合、米国と中国・ロシアの間で本格化している「新冷戦」の狭間で、ただでさえ難しい立場に置かれている韓国政府としては、立ち位置がいっそう狭まることになりうる。

 国際秩序が急変し北朝鮮の武力誇示が続く状況においても、朝鮮半島情勢を安定的に管理することは、本当に並大抵のことではない。しかし、朝鮮半島の平和と韓国の生存のためには、必ず解決していかなければならない課題であることは間違いない。このような重大なことには、与野党の違いはありえない。北朝鮮のミサイル発射を、対決を助長し安全保障への懸念をあおり立てる形で選挙に利用しようとすることは、あってはならない。北朝鮮も今のような「瀬戸際戦術」では望みのものを得られないということを明確に認識し、一日も早く対話の場で出てきてほしい。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1032776.html韓国語原文入力:2022-02-27 19:01
訳M.S

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