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韓国「2月には1日最大12万人の感染」予想…非常事態を防ぐシナリオは?

登録:2022-01-27 08:00 修正:2022-01-27 11:07
疾病管理庁の短期予想の分析結果 
2月末に最小3万人・最大12万人 
政府省庁別に業務継続計画を準備 
「医療スタッフの隔離基準などに弾力運用が必要」
26日、新規感染者数が表示されている地下鉄ソウル駅のデジタル総合案内図には、この日発表された新規感染者数の13012人に対して、最後の「2」が抜けた「1301」人が表示されている。担当業者は、感染者が4桁の数まで表示されるようになっており、今後システムを修正する予定だと明らかにした/聯合ニュース

 オミクロン変異株の感染拡大の余波で、韓国で新型コロナウイルス感染症の新規感染者が初めて1万人を超えた。政府は、29日から全国単位でハイリスク群を中心としたPCR検査が可能になるよう、オミクロン株対応体制に転換することにした。急激な感染拡大が予想される状況において、患者の管理だけではなく、保健医療や教育などの社会の必須機能が止まらないようにする対応策も急いで整備しなければならない状況だ。

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防疫当局「来月の感染者は最大12万人」

 中央防疫対策本部(防対本)は、26日0時現在の新型コロナの新規感染者は1万3012人だと明らかにした。前日の8571人より4441人増え、わずか1週間で2.24倍に急増した。

 防疫当局は、このような感染者の急増傾向はしばらく続き、来月は1日の感染者が最大12万人となる可能性があると予測した。疾病管理庁が21日に数理モデリングで出した「短期予測結果」の分析によると、デルタ株に対するオミクロン株の感染力を2.5倍と仮定する場合、1日の感染者は今月末は7000~8000人、2月中旬には1万5000~2万1000人、2月末は3万2000~5万2000人に増加する。オミクロン株のデルタ株に対する感染力を3倍と仮定する場合、1日の感染者は今月末は8000~1万人、2月中旬には2万7000~3万7000人、2月末は8万~12万人台になると予想される。

 感染者の増加により、政府は29日からオミクロン株対応体制を全国に拡大すると明らかにした。光州(クァンジュ)、全羅南道、平沢(ピョンテク)、安城(アンソン)など4カ所で実施中の地域医療機関の迅速抗原検査(自主検査キット)を、29日からは全国に拡大するということだ。これを受け、29日には全国256カ所の選別診療所で迅速抗原検査が可能になる。来月3日からは、全国の呼吸器専門クリニック431カ所と、指定された町内病院・医院が検査と診療の役目を果たす。この日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領も参謀会議で「オミクロン株対応体制の全国拡大と関連の準備を急いで進めよ」と述べ、「町内病院・医院による新型コロナの検査と治療システムも初めて施行するものであるため、初期には足りない点もあるはずだ。医療界とよく協議して対処せよ」と指示した。

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町内病院が在宅治療も担当する「ワンストップ在宅治療」検討

 政府は、オミクロン株対応体制への転換とともに、大韓医師協会などの医療団体とともに「ワンストップ在宅治療モデル」を協議している。これを受け、新型コロナの診療に参加する町内病院・医院を募集中だ。

 このモデルは、町内病院・医院が新型コロナの検査を行い、診療・在宅治療のモニタリングまですべて担当する「町内主治医」のような考えだ。現時点では呼吸器専門クリニックが診断と治療を担当するようにしているが、町内病院も診断検査と在宅治療を担当できるように転換するというのが政府の計画だ。

 このモデルが施行されると、町内医院が閉まる午後6時から翌日午前9時まで、防疫当局と自治体が運営するセンターが患者の管理を引き受けるものとみられる。ソウル市医師会のパク・ミョンハ会長は本紙の電話インタビューで、「町内医院が24時間体制をとるのは難しいと判断し、深夜応急コールに対応するセンターが設けられるようだ」とし、「まだ補償や細かい運営体制についてはさらに協議が必要な部分」だと述べた。ただし、スペースの限界により動線の分離や診断検査などに制約がある町内医院をどのようにして参加させるのかについては課題となっている。

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「社会の必須機能の麻痺」に備えシナリオ別の計画が必要

 感染者の急増を受け、社会の必須機能の麻痺に対する対策を急ぐべきという声も大きい。たとえば、保健医療界の集団感染などにより病院医療機関の機能が麻痺したり、ケア・教育・治安・消防などでもオミクロン株の感染者が続出して十分に機能できなくなることを防がなければならないという話だ。

 政府は、各省庁別に感染者急増の場合の業務継続計画(BCP)を作っている。中央防疫対策本部のコ・ジェヨン危機コミュニケーションチーム長は、「ガイドラインを提供し、各省庁で社会の必須機能の維持のために必要な重要業務を選定し、BCPを作るよう要請した」とし、「例えば、ケアや教育、治安などの分野で非常時の組織をどう構成しなければならないのか、優先順位となる重要業務が何なのか、在宅勤務の活性化など、非常時における計画を立て、期間内に感染病の拡大防止措置をとるよう提案した」と言及した。

 専門家らは、感染者の急増に備えより具体化したBCPを準備しなければならないと指摘した。翰林大学医学部のキム・ドンヒョン教授(社会医学)は、「防疫状況にともなう感染者の発生規模に応じた非常時の計画がなければならない。感染者が3万、5万、10万人になった場合のシナリオ別に準備しなければならない」と指摘した。

 特に、保険・医療スタッフの感染により保健所や病院の運営が困難になった場合の対応策が用意されなければならないという声も出ている。ソウル大学医学部のキム・ユン教授(医療管理学)は、「医療スタッフもこれまでの基準に従って隔離するが、(医療スタッフが)広範囲に感染した場合、症状がなく最小の隔離期間を経た医療スタッフは少し早く職場に出るなど、隔離基準を弾力的に運用する必要がある」と述べた。

パク・チュニョン、チャン・ヒョヌン、イム・ジェヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1028910.html韓国語原文入力:2022-01-27 02:33
訳M.S

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