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韓国でオミクロン株感染者1200人…デルタ株より2.5倍速い

登録:2022-01-03 00:38 修正:2022-01-03 07:11
12月1日の流入後、デルタより2.5倍速く1000人超え 
ソーシャル・ディスタンシング維持しても感染者1万人以上予測 
日常回復のためには感染者大量発生に対応しうる医療システムが重要 
パクスロビドなどの「飲む治療薬」の役割にも期待
2日午前、ソウル中区のソウル駅広場に設けられたコロナ臨時選別検査所で、市民が検査を受けるために並んでいる/聯合ニュース

 新型コロナウイルスのオミクロン株感染者が、韓国に流入してわずか1カ月で1000人を超えた。専門家は、新年にパンデミックを克服し、日常回復へと向かうためには、感染力の強いオミクロン株にどのように対応するかが重要な変曲点になるとみている。また感染者の大量発生に備え、飲む治療薬と医療システムの整備も重要だと指摘する。

 中央防疫対策本部(防対本)の集計によると、2日0時現在で過去24時間以内に新たに確認されたオミクロン株感染者は93人。この日までにオミクロン株感染者は累計で1207人が確認されている。国内のオミクロン株新規感染者は先月31日が269人、1日が220人で、急激な増加を示している。

オミクロン株の拡散で今月末には1日の感染者1万人の予測

 オミクロン株感染者の増加の速度は、デルタ株に比べて2.5倍ほど速い。ナイジェリア訪問から帰国した夫婦とその知人ら5人が先月1日に初のオミクロン株感染者と確認されてから、わずか1カ月後の今月1日には、累計感染者数が1000人を超えた。これに対しデルタ株は、昨年4月22日に韓国で初めて確認されてから累計感染者数が1000人に達するまでに78日かかっている。

 政府は、オミクロン株感染者の増加は、防疫当局が先月30日に新たに導入した変異株のPCR検査が普及した影響もあるとみている。この変異株検査法の開発により、変異株に感染しているかどうかが3~4時間で確認できるようになった。そのため、より大量の検体の検査が可能になった。以前は疾病管理庁が全ゲノム配列の解析によってオミクロン株感染を判断していたが、検査には3~5日を要していた。変異株検査法の導入時期を考慮すれば、実際の感染速度はデルタ株の2.5倍よりも速いという試算が可能となる。

 防疫当局は、デルタ株より感染力の強いオミクロン株が国内でまもなく優勢となり、感染者数を増やすと見込んでいる。疾病管理庁と韓国科学技術研究院(KIST)の共同の分析によると、オミクロン株の感染力がデルタより平均で4倍以上強いと仮定した場合、現行で9時までとなっている営業時間、4人までとなっている私的会合の人数制限を内容とする社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)を維持しても、今月末には1日の新規感染者数が1万人に達すると予想される。また、1月2日に営業時間を10時までに緩和すれば、同じ期間に新規感染者数は1万8000人台にまで増加するとも予測されている。

新年にコロナ飲み薬…春の感染者大量発生への対策も必要

 専門家は、新年もパンデミックから完全に脱して「終息」へと至るのは難しいとみている。嘉泉大学吉病院のオム・ジュンシク教授(感染内科)は2日、本紙に対し「(コロナは)これまで示してきた特徴を見れば、消え去るウイルスではない。当分は様々なかたちで(変異株が)現れるだろう。より効果的なワクチンを開発するか、薬を開発する過程で、ソーシャル・ディスタンシングを行わない方向へと進むことはあり得るだろうが、消え去ることはないだろう」との予測を示した。

 新年に日常回復へと近づくには、オミクロン株などの変異ウイルスの推移が重要だ。明知病院のチェ・ガンウォン教授(感染内科)は「速断は難しいが、欧州と米国でオミクロン株が頂点に達しているにもかかわらず、死者や入院者が以前に比べて減っているというのは肯定的な兆候」としつつも「オミクロン株の症状は軽くても、患者が増えれば死者と重症患者が生じるため、峠は越えて行かなければならない」と述べた。

 今年中にコロナパンデミック克服に近づいていくためには、飲む治療薬がどれほど役割を果たせるかも重要になる。釜山大学のユン・テホ教授(予防医学)は「外来で経口用治療薬の処方を受け、家で症状が悪化しなければ、入院せずに治るのではないか。致命率が下がれば重症化率が下がり、感染者の数そのものには意味がなくなる。結局は致命率をどれだけ下げられるかがカギ」と分析した。政府は、ファイザー社のパクスロビド36万2000人分とメルク社のモルヌピラビル24万2000人分の、計60万4000人分の飲み薬の先行購入契約を締結している。今月初めにはさらに40万人分を確保する契約も結ぶ計画だ。

 今年上半期のオミクロン株感染者の急増に備えた医療システムの整備も重要だ。オム教授は「2月末から3月初めには、オミクロン株感染者発生は、少なく見積もっても1日に1万~1万5000人となることもありうる。絶対的な患者数が増えると思うので、重症化率が低くても重症患者数は減らないということもあり得る。重症患者病床を最大限増やし、患者が大量に発生しても生活支援と医学的支援がなされるシステムを作る過程が必要だ」と述べた。翰林大学江南聖心病院のイ・ジェガプ教授(感染内科)も「外来診療システムを正常化しなくては患者の増加に対応できない。今のように感染者を選別して診療する方式では、患者をすべて見ることはできない。コロナ患者の外来診療がインフルエンザのようにできるよう、診療システムを変えなければならない」と述べた。

パク・チュニョン、チャン・ヒョヌン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1025663.html韓国語原文入力:2022-01-02 17:05
訳D.K

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