新型コロナウイルス感染症の変異株「オミクロン」の感染者数はもとより、感染経路不明の集団感染も増えており、韓国国内でもオミクロン株が近いうちに優勢種になる可能性があるとして、懸念が高まっている。
中央防疫対策本部(防対本)が26日に発表した「オミクロン株関連事例の現況」によると、同日までのオミクロン株感染者は376人。今月1日に初めて感染が確認されてから13日間で100人(12月13日114人)に到達して以来、200人台(21日227人)まで8日、200人台から300人台(25日343人)まではわずか4日しかかからなかった。特に、0時基準で25日に81人、26日に33人の感染者が発生するなど、週末の全体事例の30.3%(114人)を占めることが確認された。
国内の事例を見ると、オミクロン株の感染拡大スピードは従来の変異株より速い。376人が確認されるまでオミクロン株は26日間(12月1~26日)だった一方、デルタ株は70日(4月22日の初発見~6月30日)だった。忠清南道を除く全国16の市道でオミクロン株感染者の発生が報告された。防対本が国内のオミクロン株の集団感染2件(134人)を分析した結果、家族内の二次感染の発生率は約44.7%で、約20%だったデルタ株の2倍以上だった。
市中感染の懸念も高まっている。オミクロン株の地域社会での感染事例は計14件、感染者は223人。そのうち江原道の飲食店や全羅北道益山(益山の幼稚園、扶安保育所、井邑保育所)、慶尚南道巨済(コジェ)の事例は海外入国者など感染経路が確認されていない地域社会への伝播事例だ。153人は海外からの流入による感染者だ。
防疫当局は1~2カ月以内に国内でもオミクロン株が50%を超え、優勢種になる可能性があると予測している。最近の12月第3週(12月12~18日)の国内変異株の分析結果によると、オミクロン株の割合は2.2%(デルタ97.8%)だったが、30日から新型コロナの陽性が確認されてから、3~5日かかったゲノム分析の代わりに、3~4時間以内に確認可能なオミクロン株の迅速確認用PCR試薬が導入されれば、より多くの患者が早く発見される可能性がある。
さらに、オミクロン株については、既存のワクチンによる有症状感染予防効果が低下するという研究結果が相次いで報告されている。23日(現地時間)、英国の保健安全保障局(UKHSA)がオミクロン株感染者6万8489人を分析した結果によると、アストラゼネカ製ワクチンを2回接種した人がファイザー製やモデルナ製ワクチンで3回目の接種を受けた場合、2~4週間まで60%だった有症状感染予防率がファイザー製は35%、モデルナ製は45%まで減少した。ファイザー製ワクチンを1回あるいは2回接種した人が同一ワクチンで3回目の接種した場合、その直後は70%だった予防効果が10週間後は45%に下がった。1~2回目をファイザー製ワクチンで接種した後、モデルナ製で3回目の接種を受ければ、9週間後も70~75%の予防効果を維持した。
科学術誌「ネイチャー」には、アストラゼネカやヤンセンファーマ(ジョンソン・エンド・ジョンソン)、ファイザー、モデルナなどのワクチンを2回接種した場合でも、オミクロン株を無力化する中和抗体の水準は非常に低いという研究結果が掲載された。ただし、世界保健機関(WHO)などはオミクロン株自体の危険度とは別に、ワクチンを接種すれば他の新型コロナウイルスはもちろん、オミクロン株も認知して攻撃するT細胞が活性化し、入院・死亡危険を下げるという研究もあると説明する。
国内のオミクロン株の感染者のうち、これまで死亡者はいない。ただし、重症・死亡リスクを判断するためには時間が必要だ。英インペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)はデルタ株に比べオミクロン株の入院リスクが0~30%低いと推定していたが、まだ初期の研究結果だ。
疾病管理本部長を務めた翰林大学聖心病院のチョン・ギソク教授(呼吸器内科)は「追加接種を進めながら、オミクロン株が韓国国民の免疫力にどのように作用するのか国立感染病研究所で研究しなければならない」とし、「重症化リスクが低くても感染者数が多ければ、重症患者が画期的に減少するとは期待できない」と述べた。