韓国の新型コロナウイルス感染症患者の入院率が、主要諸国に比べてはるかに高いことが分かった。在宅治療を拡大し、病床を効率的に運用することで、入院率を下げなければならないという指摘が出ている。
健康保険審査評価院(審評院)が9日、各国の保健部ホームページと経済協力開発機構(OECD)の資料集を総合して分析した結果によると、英国は新型コロナ患者の入院率が4.59%、シンガポールが6.59%などで、韓国(20.2%、中央事故収拾本部の11月調査基準)の半分にも満たないことが分かった。人口1000人当たり病床数が最も多い日本(12.8病床)も、新型コロナ患者の入院率が13.8%で、韓国より低かった。韓国は人口当たりの病床数は12.4床で、日本より少ない。
審評院が把握したのは、韓国が独自で運用している生活治療センター(軽症患者の隔離および治療支援施設)入所者を除いた数で、これを含めると入院率は49.8%とさらに高くなる。中央事故収拾本部のソン・ヨンレ社会戦略班長は前日のブリーフィングで「韓国は今年初めから在宅治療を持続的に拡大しているが、(依然として)12月第1週の平均全体感染者の50.2%だけが在宅治療を受けている」と説明した。半分ぐらいが病院などの施設で治療を受けているという説明だ。
韓国で新型コロナ患者の入院率が高くなったのは、新型コロナを法定1級感染病に分類し、「患者を陰圧病床に隔離して治療する」という感染病対応マニュアルを機械的に適用してきたためだ。韓国は病床数が多く、他国に比べて相対的に感染者は少なかったため、「入院治療」原則を長く守ることができた。釜山大学医学部のユン・テホ教授(予防医学)は「昨年、大邱(テグ)で第1波が発生した際、家で(病床の空きの)待機中に死亡した患者が出て、在宅治療は『放置』とみなされるようになった」とし、「中東呼吸器症候群(MERS)以降、国が国民の命を責任を持って守らなければならないという意識が強くなり、感染病は政府が施設で治療すべきという認識が広がったようだ」と分析した。
しかし、高齢層を中心にワクチンの感染予防効果が低下し、段階的な日常回復(ウィズコロナ)の実施で病床稼働率に赤信号が灯った。中央防疫対策本部(防対本)が9日発表した内容によると、0時現在で重症患者数は857人とコロナ禍以降最も多く、2日連続7千人台の新規感染者が発生した。韓国政府は病床の拡大に力を注いでいるが、あまり効果はみられない状況だ。前日午後5時現在の感染専門病床(1万2169床)、重症者病床(1255床)、準重症病床(653床)の稼動率はそれぞれ70.85%、78.8%、71.67%で、いずれも70%を超えた。生活治療センターの稼働率も68.2%と高くなっている。
病床の確保における限界を確認した政府は、在宅治療の拡大に集中している。同日0時現在の在宅治療の対象者は計1万8404人。在宅治療支援の拡大案を発表した防疫当局は「在宅治療を拡大してこそ、ウィズコロナとともに医療体制を持続的に運営することができる」と説明した。
一部では政府が結局、既存の新型コロナ治療体制の非効率性を自ら認めた形だという批判の声もあがっている。ソウル大学のキム・ユン教授(医療管理学)は「これまで誰が入院して治療を受けるのかを政府が決めてきたのに、急に入院率が高いと指摘するのは理不尽だ」とし、「誰がどれだけ集中治療室にいるべきなのかの問題は、ウィズコロナ前に見直すべきだった」と批判した。
政府がようやく在宅治療を拡大する方針を打ち出したが、これまで行ってきた治療体制への「依存性」のため、実行が難しいという指摘もある。ある保健医療専門家は「地方自治体と保健所としては患者を自宅で管理するより施設に入院させる方が楽なのが事実」だとし、「政府が地域の病院や医院、医者に協力を求めているが、『夜間には対応できない』など反発が出ている状況」だと説明した。
にもかかわらず、在宅治療がきちんと定着してこそ、高まった入院率を下げることができる。「新型コロナ対応戦略改編案研究」を進めている審評院のクォン・オタク博士は「在宅治療の拡大が始まって間もなく一部の問題点が現れるかもしれない。政府がきちんと対応し、無症状や軽症の患者たちの状態が悪化しなければ、ようやく入院率の減少も期待できる」と述べた。