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韓国のコロナ新規感染者、年内に1万人発生の可能性も…専門家「特段の対策が必要」

登録:2021-12-09 01:51 修正:2021-12-09 07:05
一日で約2000人も新規感染者が急増 
年内に一日1万人の可能性高まる 
韓国政府は防疫パス効果に期待 
在宅治療支援など軽症患者対策を発表 
専門家「より強力な距離措置を」
今月8日0時現在の新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が7175人(国内7142人、海外からの流入33人)で、初めて7000人台を記録したこの日、ソウル松坡区役所災害対応状況室のモニターに感染者数が表示されている=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 韓国の新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が初めて7千人を突破した。専門家らは年内に1万人の発生もあり得る状況だとし、重症患者と死亡者の増加で病床が不足している中、厳しい距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)など特段の対策が必要だと指摘している。しかし韓国政府は同日、在宅治療の改善に焦点を合わせた医療体制の改善策を打ち出し、今月6日から施行された「防疫パス」の拡大など、「特別防疫対策」の効果を見極める構えだ。

 中央防疫対策本部(防対本)は8日午前0時現在、新規感染者数は7175人(国内7142人、海外流入33人)だと発表した。前日(4954人)に比べて2221人増加し、先週水曜日(5123人)と比べても2052人増加した。重症患者も840人で、やはり過去最多だった。新型コロナによる死亡者も63人で、累積死亡者数(4020人)が4000人を超えた。

 一日で2000人以上の新規感染者が急増した原因として、政府は「週末効果の減少」と「拡散傾向の持続」を挙げた。中央事故収拾本部のソン・ヨンレ社会戦略班長は同日の定例ブリーフィングで、「毎週水曜日は(週末に減少していた) 検査量が増えるにつれ、新規感染者数が増加する様相が繰り返されている。これに加え、新型コロナの感染拡大が急速に進んでおり、新規感染者数が大幅に増えたものと見られる」とし、「政府は毎日の新規感染者数よりも、上昇傾向にある高齢患者の割合の方が危険だと判断し、引き続き注目している」と説明した。前日、全体新規感染者4954人のうち、60代は18.99%(941人)、70代以上は12.32%(610人)だったが、同日はそれぞれ20.99%(1506人)、13.14%(943人)へとさらに増えた。

 専門家らは、新規感染者数の増加は段階的な日常回復(ウィズコロナ)を施行した時に予見されていたことだとしながらも、保健医療体制が受容できる水準を超えた重症者が発生しており、追加的な防疫・医療対策が急がれると口をそろえた。

 嘉泉大医学部のチョン・ジェフン教授(予防医学)は同日、本紙との電話インタビューで、「新規感染者数の増加はウィズコロナによるものとみられる。しかし、私たちの予想をはるかに超えたスピードで増えている。(今はウィズコロナを中止しなければ)新規感染者数が1万人を超えるかもしれない」とし、「緊急防疫政策が必要であり、過去2週間に発表した(特別防疫)対策に加えて、ソーシャル・ディスタンシングの強化を考えるべきだ」と述べた。チョン教授は先月末「新型コロナフォーラム」で来年1月頃には7千人の感染者が出て、1月末頃には新規感染者数が1万人に達すると予想したが、予測より早く7千人台に入った。

 全国的に新規感染者数が増え、保健医療体制も限界を迎えている。全国の新型コロナ重症患者専門病床の稼働率は78.7%。首都圏(ソウル・仁川・京畿道)の重症患者病床の稼働率は84.5%で、連日臨界値が続いているが、重症患者病床は前日(1254床)に比べ、わずか1床の増加にとどまった。在宅治療者も急増している。同日0時現在の在宅治療の対象者は計1万7362人で、前日(1万6824人)より538人が増えた。病床が空くのを待っている待機患者は860人で、4日以上待機中の患者も358人にのぼる。

 先月初めにウィズコロナを始める際、新規感染者が1万人発生しても受容できる医療体制を整えると公言した政府も、重症者と関連した予測の失敗を認めている。ソン班長は「重症化率を1.6%程度と仮定し、昨年12月に比較して重症患者病床と感染病専門病床を3倍程度確保した」とし、「しかし現在重症化率が予想よりやや高い2~2.5%前後であり、集中治療室の稼働率がかなり高くなっている状況」だと述べた。ソン班長は「(新規感染者は)約1万人程度までは耐えられるが、それ以上のためにはかなりの医療的調整が必要となり、予定されている病床の拡充作業を引き続き進めていく」とし、新規感染者数が1万人まで増える可能性を念頭に置いていることを示唆した。しかし政府は同日、ワクチン接種完了者の在宅治療生活支援費を増やし、同居家族の隔離期間を減らすなど、無症状・軽症患者対象の在宅治療改善案を発表しただけだ。

 防疫専門家らは、同日一日の新規感染者数の増加だけでは、感染拡大の傾向を説明するのは難しいとしながらも、年内に新規感染者数が1万人を上回る可能性が高いと予測した。ソウル大学のキム・ユン教授(医療管理学)は「一時的に7千人を超えており、明日または明後日には少し減る可能性もあるが、拡散傾向が続いており、今年中に1万人の新規感染者が出る可能性が高い」とし、「政府が対策を打ち出したが、効果は来週くらいに現れる可能性があり、効果が現れても新規感染者数は結局1万人を超えるだろう」と予想した。

 政府は今月6日から実施している特別防疫対策の効果を見極めながら、防疫対策を追加することに重点を置いている。中央防疫対策本部(防対本)は同日のバックブリーフィングで、「流行の推移は人口集団の防御能力(免疫力)や移動量、感染者の規模を根拠に予測するが、現在感染者規模は過去最大で、移動量が減らない中、予防接種(基本接種)免疫効果は弱まっている」とし、「今の状況で見る限り、新規感染者数は増え続けるものとみられる。注意深く状況を見極めながら、特段の措置を取るかどうかを検討する」と述べた。

 南アフリカ共和国で発見され、世界的に広がっている新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン」の感染者も増え続けている。防対本の発表によると、同日2人がオミクロン株への感染が確認され、累積感染者数は38人になった。感染者はいずれも軽症で、重症化したケースは今のところないと防疫当局は説明した。

イ・ジェホ、キム・ジウン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1022514.html韓国語原文入力:2021-12-08 21:38
訳H.J

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