韓国の新型コロナウイルスの新規感染者数が初めて5000人を超えた。重症患者数も700人台を記録した。重症患者用病床の拡充の速度が重症患者の増加に追いつけず、病床不足も悪化の一途をたどっている。このままでは重症患者診療システムが崩壊するのではないかとも懸念される。泣き面に蜂で、新たな変異株「オミクロン」への感染が疑われる例が国内でも発生した。絶体絶命の危機といっても過言ではない。日常回復への期待はしばし押入れに仕舞って立ち止まるべき時だと考える。防疫当局は、流行規模を適正水準に抑え込めるよう、防疫強化策を早急に打ち出すべきだろう。
中央防疫対策本部の発表によると、1日午前0時現在でコロナ新規感染者数は5123人。直前の最多記録である4115人(11月24日)より1000人以上も多い。重症患者も1日で62人増え、過去最多の723人となった。重症患者が急速に増えたことで、医療対応の余力も日に日に枯渇しつつある。重症患者が集中的に発生している首都圏の重症患者病床の稼働率は89.2%に達する。首都圏に近い忠清圏(95%)もすでに飽和状態だ。首都圏の患者を非首都圏へと移送する「一時しのぎの処方」の限界が如実に表れているのだ。そのため、病床の空きを待つ患者は首都圏だけで800人を超える。昨年冬の第3波のように、十分な治療も受けられずに死亡する人が続出しないとも限らない。
このような状況においてオミクロン株の拡散まで起これば、防疫システムにとって深刻な脅威とならざるを得ない。オミクロン株は感染力が強いうえ、ワクチンの効果も低下させることが知られている。オミクロン株の存在が分かってからわずか1週間後には、世界6大陸のすべてにおいて感染例が確認されている。外国人の入国を全面遮断した日本とイスラエルでも感染者が確認された。専門家は、このような拡散の勢いを考慮すれば、国内への流入は避けられないだろうと見ている。問題は拡散速度だ。流入と拡散をできる限り抑え込んで対応する時間を稼がなければならない。今年6月のデルタ株の流行初期に、安易な対応で拡散を勢いづかせた過ちを繰り返してはならない。
「段階的な日常回復(ウィズコロナ)」の肝は防疫と生活の均衡だ。防疫が崩壊すれば日常の回復も不可能だ。現在の防疫指標だけを見れば、日常回復措置を一時中断する「非常計画」を発動してもおかしくない状況だ。ウィズコロナ基調を保ちつつも、私的な会合の規模や食堂・カフェにおける未接種者の許容人数の縮小などの、限定的な「社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)」強化は避けられないと考える。決断を下せずに「今日の一針明日の十針」の愚を犯してはならない。