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「BTS兵役特例」再び議論に火がついた理由は

登録:2021-11-26 09:03 修正:2021-11-26 09:48
来年満30歳のメンバーのジン、入隊を控え
BTSの(左から)V、シュガ、ジン、ジョングク、RM、ジミン、J-HOPEが5月21日、オリンピック公園で開かれたニューデジタルシングル「Butter」の発売を記念するグローバル記者懇談会に出席しポーズを取っている=ビッグヒットミュージック提供//ハンギョレ新聞社

 アメリカン・ミュージック・アワード(AMA)大賞を受賞し、再び世界的名声を上げたグループ防弾少年団(BTS)は、軍隊に行くべきか。数年前から議論されてきたBTSの代替服務(兵役特例)許容をめぐる議論が再び白熱している。

 国会の国防委員会法案審査小委員会は25日、「国家の威光を高めた大衆文化芸術家を芸術体育要員の編入対象に含めよう」という兵役法改正案を論議したが、結論を出せなかった。賛否両論が分かれ、今後公聴会を通じて世論を集めることにした。国防部はこの日、「慎重でなければならない」とし、法案改正に事実上反対する立場を明らかにした。

 現行の兵役法では、国家の威光を高め文化の発達に貢献した特技者は、軍服務の代わりに芸術体育要員として代替服務することができる。例えば、サッカーのソン・フンミン選手は、2018年のジャカルタ・パレンバン アジア競技大会でサッカー国家代表チームが金メダルを獲得し、芸術・体育要員として選ばれた。バイオリンやピアノなどの分野の特技者も兵役特例の対象だ。兵役法施行令で芸術分野の兵役特例対象者は、国際芸術コンテストで2位以上の受賞者▽国楽など国際大会がない分野の国内芸術大会で1位の受賞者▽国家無形文化財指定分野で5年以上伝授教育を受け資格を取得した者と規定されている。体育の場合、五輪で銅メダル以上の受賞者▽アジア大会の金メダル受賞者などに兵役特例が与えられる。

 現行法では、BTSのような大衆文化芸術家は兵役特例を受ける芸術・体育分野の特技者ではない。したがって、1992~1997年生まれのBTSメンバーは全員現役兵の入営対象となる。今年6月から施行された大衆文化芸術家入営延期制度で、文化勲・褒章受勲者のうち文化体育観光部長官の推薦を受ければ、満30歳まで入隊の延期は可能だ。このため、BTSの最年長者である1992年生まれのジンは来年入隊することになる。BTSの入営時点が近づいてきたのだ。

 BTSはすでに何度も入隊の意向を明らかにしてきた。本人たちの意志とは関係なく、兵役特例が議論されている状況だ。兵役特例を与える側は、BTSの世界的影響力を強調する。社団法人韓国音楽コンテンツ協会は24日、「韓国の大衆音楽家たちは国家イメージの向上、国威を高める先鋒に立っており、どの分野と比べても不足ない成果を出している、大衆音楽家の芸術体育要員編入に関する明確な基準を作り、国威を高めた大衆音楽家が目標と自負心を持って活動できるようにすべきだ」と主張した。

 兵役法改正に慎重な側は、公平性と兵役資源が減っている現実を挙げている。国防部のプ・スンチャン報道官はこの日の定例ブリーフィングで、「国防部の立場としては、状況の変数を考慮せざるを得ない。差し迫った問題は(兵力資源の減少をもたらす)人口急減によるものが最も大きく、社会的合意も必要だ」とし「こうしたことを考えれば、芸術体育要員の編入対象の拡大は選択しがたく、慎重でなければならない」と述べた。国防部のこのような態度には、入営対象の若者が有り余っていた1973年に導入した兵役特例制度を、兵役適齢期の若者が不足している現在の状況では拡大しがたいという判断がある。

 国防部は公平性を強調するが、自己矛盾だという指摘が多い。1973年に初めて導入された兵役特例制度は、1988年ソウル五輪前までは有名無実だった。世界水準に比べて韓国の体育・芸術水準が低く、1976年のモントリオール五輪でレスリングで金メダルを取ったヤン・ジョンモ選手が唯一恩恵を受けた。政府は1988年のソウル五輪を控え、「ホーム大会」でメダルを多く獲得するために体育要員兵役特例対象を大幅に拡大した。ユニバーシアード大会などで3位以上の入賞者まで特典を与えた。しかし、五輪が終わって公平性問題が起こると、1990年には五輪大会3位以上、アジア大会1位の入賞者へと兵役特例対象をまた絞った。

 サッカー、野球の世界大会も元は兵役特例対象ではなかったが、韓国が2002年のW杯4強、2006年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で4位に入ったことで、W杯16強、WBC4位以上の成績を収めた人に特例を認めた。その後「特定種目の特典」という批判が起こると、2008年に特例条項は再び削除された。国防部が兵役特例の新設と廃止を繰り返し、公平性の論争を自ら招いたということだ。この日、国会国防委員らも、国防部が社会的合意を掲げて制度改善に向けた前向きな検討はせず、国会に責任を転嫁していると一様に批判した。

クォン・ヒョクチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1020851.html韓国語原文入力:2021-11-25 21:14
訳C.M

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