兵役免除の対象に大衆歌謡の歌手などを含める兵役法改正案が国会に上程され、可決するかどうかに関心が集まっている。改正案が可決されれば、五輪のメダリストなどスポーツ選手だけでなく、防弾少年団(BTS)などの国家の威光を示した大衆歌謡歌手も、兵役免除の恩恵を受けられるようになるからだ。
9日に開かれた国会の国防委員会法律案審査小委員会では、野党「国民の力」のユン・サンヒョン議員ら16人が6月25日に発議した「兵役法一部改正案」が論議の手続きに入った。改正案の骨子は、大衆文化分野でも兵役免除を受けられるようにするというもの。他の法案の審議に押されて本格的に議論されていなかったが、次の会議で議論が開始されるとみられる。
ユン・サンヒョン議員らは改正案について「現行の『兵役法施行令』には大衆文化分野が兵役免除を受けられるよう規定されていないため、大衆文化の芸能人は国威宣揚に貢献しても兵役免除の恩恵を受けられなかった」とし「大衆文化分野でも兵役が免除されるようにして公平性を保つために、法と施行令改正を提案した」と説明した。
現行の「兵役法施行令」は、スポーツ選手が五輪やアジア大会などの国際スポーツ大会で、また文化芸術家がクラシックや舞踊の大会で一定水準の成績を収めれば、兵役が免除されることになっている。しかし、歌手や俳優などは国際歌謡祭や国際映画祭で受賞しても免除されない。
すでに国防委員会は、検討報告書で兵役法改正案に否定的な意見を示している。大衆文化分野は、五輪やコンクールのような公的な、あるいは代表性のある指標がないため客観的な基準の設定が難しく、ブレイクダンサー(B-boy)などの新しい分野でも拡大を要求される可能性が高いため、公平性をめぐる批判を招きかねないと分析したためだ。また、これらの分野での活動が、個人の営利活動と直に関係していることも理由にあげている。
大衆文化界は兵役法改正案の可決を求めた。韓国音楽コンテンツ協会のチェ・グァンホ事務総長は「純粋芸術は国内の新聞社が開催したコンクールに入賞しても兵役免除の恩恵を受けるのに、公共性や代表性があるのか疑問に思う」と語った。また「大衆文化ともいえるブレイクダンスは2022年の杭州アジア大会の正式種目に採択されており、メダル獲得の可能性も高いため、兵役が免除されることになった」とし「これでは歌手と演技者だけが差別される格好になる」と指摘した。